■レスポンスがシャープで加速が快適
今回はi-MMDを搭載するセダンのインサイト、ミニバンのステップワゴン、SUVのCR-Vを使って運転感覚をチェックした。
i-MMDの特徴は走りが上質なことだ。エンジンを作動させている時は発電を積極的に行い、リチウムイオン電池に効率よく充電する。そのためにエンジンを停止させ、モーターだけで走る時間も長い。静かで滑らかな運転感覚を満喫できる。
遮音も入念に行ったから、モーター走行の最中にアクセルペダルを踏み増してエンジンが始動してもノイズをほとんど意識させない。
アクセル操作に対する反応は機敏だ。
一般的なエンジン駆動ではアクセルペダルを踏み増すとエンジン回転が高まり、これに伴って駆動力が向上する。つまり時間差が生じるが、モーター駆動ではアクセルペダルを踏み増した次の瞬間には加速を開始する。従ってパワフルに感じる。
インサイトのエンジンは1.5Lで、燃費を考慮したから、i-MMDのなかではモーターの動力性能が少し控え目だ。それでも加速力をノーマルエンジンに当てはめると2.5Lクラスに相当する。
ステップワゴンとCR-Vのi-MMDは、2Lエンジンと組み合わせて動力性能をさらに高めた。アクセルペダルを深く踏み込むと駆動力が一気に高まり、加速感は3Lエンジン並みだ。特に追い越しをする時は、モーターならではの高い瞬発力が発揮されて力強く感じる。
インサイトとCR-Vでは、ステアリングホイールの両側にパドルタイプの「減速セレクター」が備わり、減速時のモーターによる回生充電の度合いを調節できる。ステップワゴンもセレクトレバーをSレンジに入れると、回生充電が強まる。この状態では、アクセルペダルを戻すと同時に積極的な回生が行われ、速度を大きく下げる。アクセルペダルの操作だけで、速度を調節できるわけだ。
またi-MMDは、フットブレーキとの協調制御も行う。Dレンジに入れた状態でブレーキペダルを踏んでも、回生充電量が増える。パドルを操作したり、Sレンジに入れなくてもいい。従来のエンジン車と同じように、ブレーキペダルを普通に使いながら走ってもi-MMDは高効率で、使い勝手も優れている。
3車種の燃費結果は、表に掲載した通りだ。エアコンを切るような省エネ走行は行っていないが、WLTCモードに近い数値となった。
以上のようにi-MMDは、フットブレーキの協調制御も含めて、多くのドライバーの実用燃費を効果的に向上させる。しかもモーター駆動だから、アクセル操作に機敏に反応してノイズは小さい。ホンダ車らしい楽しい運転感覚と、上質な走りをさまざまなカテゴリーで満喫できる。
■ステップワゴン スパーダハイブリッドの魅力
ステップワゴンは車内の広い3列シートのミニバンなので多人数で乗車したり、3列目を畳んで重い荷物を積むことも多い。i-MMDはこの用途でも優れた効果を発揮する。通常のエンジンは低回転域で駆動力が下がるが、i-MMDではモーターの性能により発進直後から充分な加速力を得られる。多人数で乗車して急な坂道を登っても、パワー不足を感じない。車間距離を自動制御できるクルーズコントロールと相まって、高速道路の長距離ドライブも快適だ。ロングドライブでは実走行燃費のよさも大きな魅力となる。
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