ZFは2026年5月26日、ドイツの首都・ベルリン消防局の緊急車両全てを「コネクテッド化」したと発表した。ベルリンは平均すると1分に1度の緊急通報がある大都市だが、プロジェクト開始から2年半で約1100台の車両がデジタルプラットフォームと繋がった。
緊急事態への対応とフリート管理がデジタル化されたことで透明性・効率性・安全性が向上したといい、両者は今後も緊密なパートナーシップを継続し、集めた膨大なデータを基により戦略的な運用を目指すことにしている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/ZF Friedrichshafen AG
ZF、ベルリン消防局のフリートをデジタル化
自動車の「コネクテッド化」は電動化などとともに次世代技術の一つとされる。運行管理が必要な商用車では普及が進んでいるが、安全を守る緊急車両もコネクテッド技術を必要とする分野だ。
ドイツのZFが緊急車両向けのコネクテッドシステム「ZFレスキュー・コネクト」をローンチしてからまだ2年半だが、この度ベルリン消防局の全車両(約1100台)がこのデジタルプラットフォームに接続された。
ベルリンは欧州屈指の大都市で、緊急車両の運用はそれだけに複雑だ。380万人の住民、密集する都市インフラ、数々の大規模イベントなど、消防局は並外れた要求に応えなければならない。2025年は1年間で55万8000件の通報に対応したといい、これは1分に1度のペースで出動していた計算になる。
当然ながら、年中無休・24時間体制で稼働しなければならず、これを支える管理業務も膨大になる。安全かつ効率的な管理にデジタルソリューションは不可欠で、2023年以来、中央プラットフォームとしてZFレスキュー・コネクトを活用してきた。
およそ2年半で、ベルリンに100か所ある消防署の全ての車両がここに接続するコネクテッド化を果たした。
ベルリン消防局で車両管理・製品管理を担当するマクシミリアン・クラウス氏は次のように話している。
「ベルリンは優れたデータ分析のおかげで時代の先を行くことができると実感しています。現在、実運用において多くの展開を予測できるようになっています。これにより能動的に行動できますし、データに基づいた意思決定は非常に重要です。また、これまで充分に認識していなかった分野の重要性を評価できるようになりました」。
膨大なデータを集め、継続的に改良する
両者のコラボレーションの当初からの目標は、実際の運用に基づいてプラットフォームを継続的に改良し、安全かつ迅速に展開することだった。
過去1年だけで数百個のタグと700個のゲートウェイ、無数のテレマティクス機器を設置した。これらを通じて駆動系、シャシー、特殊機器、架装物などからデータを収集している。
現代の緊急車両が生成するデータは膨大で、ベルリン消防局の車両全体で1分当たり100万から150万のデータポイントを生成する。現在の実装レベルは、将来のさらなるデジタル化・コネクテッド化に向けた基盤を作る段階だといい、より戦略的な運用を可能にすることに取り組んでいる。
また、消防車や救急車などの架装を担当するボディメーカーと協力して、工場でレスキュー・コネクトのハードウェアを直接取り付けられるように取り組んでいるそうだ。
ZFレスキュー・コネクトは緊急車両のためのクラウドベースのモジュール型プラットフォームで、車両・機器・隊員・管制センターをリアルタイムに接続する。一元化されたインターフェースを通じて関連情報を提供するほか、車両のステータス管理、任務の記録、ITシステムとの連携なども可能だ。
特定のメーカーに依存せず、消防局のほか、救急医療、災害対応組織などの機関でも利用できるように設計されているという。
自動車部品のイメージが強いZFだが、消防・救急向けのデジタルソリューションでも欧州最大手で、6月に製品ポートフォリオを刷新する予定だ。緊急事態に対応するための新しいコンセプトとソリューションを「インターシュッツ」見本市で初公開することにしている。
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