アイスや冷食を運べるハイレベルな温度管理性能
しかも、その温度管理性能はハイレベルである。外気温35℃という環境で、積荷8トンを収めた庫内をマイナス25℃に保つことができ、その環境下で5時間経過しても、庫内温度はたった2~3℃しか変化しない。これは、冷凍食品やアイスクリームの輸送で求められる品温性能を満たすもので、特殊な超低温車を除く一般的な温管車では最上級の能力だ。もちろん冷凍車であってもハイスペック仕様を必要とするクラスで、それを保冷車で実現するのだから、まさに型破りのパフォーマンスである。
試作保冷バンを開発したのは、国内の大型温管車メーカーとしてその頂点に立つ矢野特殊自動車。究極の150mm厚VIPも、同社が開発・製造するオリジナル品だ。ちなみに出品車には、同社製のさまざまな温管車用艤装アイテムもフル装備していた。
予冷専用冷凍機はデンソーの市販モデルで、コンデンサとエバポレータを一体化したパッケージ型冷凍機「NP10型」のスタンバイ装置搭載モデル(NP10LE)を搭載する。予冷運転は、このスタンバイ装置(外部200ボルト電源で冷媒コンプレッサと送風機を作動させる装置)を活用したもので、まったく珍しいものではない。予冷という作業も通常の冷凍車では当たり前である。ただし、試作保冷バンでは冷凍機は単に載っているだけで、シャシーとのエネルギー的な接点は一切なく、操作どころか冷凍機のON/OFFさえできない。これが「保冷バン」を名乗るゆえんだ。
このユニークな試作保冷バンを、プロフィアZ FCVに架装して出品したのは、水素燃料を走りにのみ使うことで東京-大阪間を余裕をもって移動でき、しかも水素燃料や予冷時の外部電源を脱炭素エネルギーで得られれば、カーボンニュートラルな長距離定温輸送につながる、という未来的なコンセプトによる。
現実には、FCトラックを運行するための水素供給インフラ確立に大きな課題があり、クルマ側もスペースに余裕のないFCVシャシーの積載容積不足(T11パレットを2列×6枚しか載せられないらしい)は看過できないところだが、将来に向けたチャレンジの第一歩として、大きな意義を感じさせる1台だったことは間違いない。
【画像ギャラリー】日野プロフィアZ FCVベースの予冷機能付き高断熱試作保冷バン(7枚)画像ギャラリー








