今年5月開催の「ジャパントラックショー2026」でイタリアのSTSシルバー社製キャリアカー「S1J」のプロトタイプを公開した城南ホールディングス。S1Jは乗用車用だが、トラック用も開発されている。
それが今回紹介する「S2J」だ。一体どんなクルマなのか? 本格稼働を開始した日本向け1号車を取材した。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
幅広い車型の小型トラック4台積みに対応
S2Jは、トラックメーカーが生産したトラックを工場から出荷先に運ぶ「新車トラック輸送」業界をターゲットに開発されたトラック用キャリアカーだ。主な積み荷は車両総重量3.5〜7.5トンクラスの小型トラック。1台あたりの重量は2〜3トン前後である。
この業界では現在、積載量8.5トン前後の国産1軸キャリアカーが多く用いられている。一昔前の車両が軽かった時代なら4台積みも可能だったが、近年は排ガス規制に伴う重量増、さらにはディーゼル車より重いEVの普及により、4台積みはむずかしくなっているという。
S2Jは軽量な2軸シャシーを採用することで最大積載量12.6トンを確保。さらにキャブサイズ、ホイールベースなどが異なる幅広い車型バリエーションを擁す小型トラックの積載に対応する荷台を独自に開発することで、小型トラック4台積みを実現しているのが最大の特徴だ。
荷台の設計にあたっては、国産小型トラックの図面を取り寄せて積載シミュレーションを実施。シミュレーションした数は実に50パターン以上にのぼるそうで、小型トラックのほか、ワンサイズ上の中型トラックやバスシャシー、マイクロバスにも対応。もちろん乗用車も積載可能だ。
日本の環境に最適化された高い機能性と安全性
今回のS2Jの開発には、新車トラック輸送で豊富な実績を持つキャリアカーユーザー、コックス・ギア(神奈川県藤沢市)が全面協力しているのもポイント。車体には現場を知り尽くしたコックス・ギアのこだわりも数多く盛り込まれている。なお同社はS2Jの整備・販売も行なっている。
例えば積み降ろし時に使うスロープは、ドライバー負担の少ない油圧式が標準仕様となる。スロープ幅はコックス・ギアの意見で700mmのワイド仕様とされ、緩やかな傾斜角を実現する段付き構造を採用。荷台架装前で駆動軸にトラクションがかかりにくい新車トラックでもスリップしにくくなっている。
また、作業中の可動式フロアの脱落を防ぐストッパーを標準装備するのもコックス・ギアの意見を取り入れたものだ。
足回りは国産トレーラでもおなじみのBPW製で、サスペンションはエアサスのみの設定。タイヤサイズは205/65R17.5が標準で、オプションで215/75R17.5も選択可能。このほか空車時のタイヤ摩耗を抑制するリフトアクスルは標準装備。オプションで後後軸ステア機構も用意する。
対応トラクタは第五輪荷重8350kg以上、カプラ高1120mm以上、前回り2420mm以上、後回り1430mm未満、ホイールベース3.8m以上の2軸車。油圧回路は日本専用で、従来の国産キャリアカー用トラクタで牽引可能。連結全長16.5m未満となるため、首都高速都心環状線(C1)も通行可能だ。
トラック用キャリアカーの市場規模は乗用車用に比べて小さいというが、人手不足を背景に積載効率が求められる状況は同じ。高い積載能力と機能性を併せ持つS2Jは今後、ユーザーのさらなる関心を集めそうである。
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