脱炭素を加速するXBエレクトリック
DAFは様々なセクターにBEVトラックを市場投入した欧州で最初のメーカーであり、大型車のXD及びXFにもBEVモデルを設定し、環境におけるリーダーシップを拡大していた。
そして、XBでは当初からBEVを設定し、「ゼロ・エミッション」のモデルレンジはさらに拡大した(現行のLFにもBEVの設定がある)。GVWは16/19トンのほか、17.5インチホイールで1段ステップの12トンバージョンも準備している。ホイールベースは4.2メートルから。
XBエレクトリックの電動モーターは、120kWまたは190kWを発揮する。トルクはそれぞれ950/1850Nmだ(ピークトルクは2600/3500Nm)。
環境インパクトの最小化と最高の耐久性を実現するため、エネルギー密度が高く、コバルトやマグネシウムを含まないリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを採用し、バッテリーパックの蓄電容量は141kWh~282kWhとなっている。航続距離は最大350kmで、都市部における集配送では充分すぎるほどの距離だ。
充電はCCSに対応する。一日の運行を終えた後などは、通常の電力網から普通充電が可能だが、運行途中などは650ボルト直流・150kWの急速充電により、40から70分で80%充電が可能(充電時間は車両の仕様による)。
また、道路輸送のゼロエミッション化をサポートするために、DAFは運送会社向けに包括的なサービスを提供する。これにはルート計画や充電に関するアドバイス、BEVを最大限に活用するためのドライバー向け専用トレーニングなどが含まれている。
ディーゼル車でも効率向上
革新的な電動パワートレーンとともに、ダフXBではディーゼルエンジンとして排気量4.5L・4気筒のパッカーPX-5型エンジンと、同6.7L・6気筒のパッカーPX-7型エンジンを用意した。
出力は124kW(170hp)から227kW(310hp)をカバーする。両機とも最新かつ強力なエンジンであり、低回転から最大トルクを発生し、ダウンスピードによりクラス最高の燃費を実現する。
エンジンラインナップは次の通り(数値は、馬力・トルク・回転数)
PACCAR PX-5
124 kW (170 hp) / 700 Nm @1.100 – 1.700 rpm
139 kW (190 hp) / 750 Nm @1.200 – 1.700 rpm
153 kW (210 hp) / 800 Nm @1.300 – 1.700 rpm
PACCAR PX-7
167 kW (230 hp) / 900 Nm @ 900 – 1.800 rpm
189 kW (260 hp) / 1.000 Nm @1.000 – 1.700 rpm
212 kW (290 hp) / 1.100 Nm @1.100 – 1.600 rpm
227 kW (310 hp) / 1.200 Nm @1.200 – 1.500 rpm
また、PX-5/7エンジンはいずれもHVO燃料を使用可能だ(HVO=水素化植物油は、食用油などを化学処理することで軽油と同じようにディーゼルエンジンで燃焼可能とした液体燃料)。HVO燃料を使用した場合、ウェル・トゥ・ホイール、つまり燃料の製造段階を含むライフサイクル全体でのCO2排出量を最大で90%低減することができ、内燃機関を脱炭素の手段の一つとして提案している。
このエンジンと組み合わされるトランスミッションとして、8段オートマチックの「パワーライン」を用意している。同機はZFが開発したトルクコンバータ付き自動トランスミッションで、中型トラックや特装車向けに設計したもの。
トルク切れのないスムーズなシフトと、素早いレスポンスにより、優れた快適性とドライバビリティをもたらす。加えて、ブレーキペダルを離した時のクリープトルクにより、低速での操作性にも優れているという。
ダフXBシリーズでは、ほかに6/9段のマニュアルトランスミッションと、一部の特殊な用途向けにアリソン製のオートマチックギアボックスが利用可能だ。