F1は2030年に「ネットゼロ」へ
今回のプロジェクトは、グローバル・ロジスティクス・パートナーであるDHLとF1のコラボレーションを通じて、最新技術がF1のような大規模なイベントの輸送をよりサステナブルに行なえることを示している。
バイオ燃料の使用は2024年以降も継続する予定となっており、DHLとF1は持続可能性に向けた更なるイノベーションを模索する上で、今夏の結果は貴重な洞察を提供することになるとした。
CO2の排出が不可避と考えられがちなモータースポーツだが、F1は2030年までに「ネットゼロ」実現を目指している。機材輸送用のトラックの脱炭素化は、そのための一部分だ。
F1で環境・社会・ガバナンスの責任者を務めるエレン・ジョーンズ氏は次のようにコメントしている。
「2030年のネットゼロというゴールに向けて、私たちの輸送がどのような変革を続けるのか楽しみです。
バイオ燃料トラックの利用による83%の排出削減は、今後に向けて素晴らしい土台となります。来る2024シーズンに向けてこれを分析し、炭素の削減が一度きりのものではなく、当たり前のビジネスにしなければなりません。
輸送とロジスティクスはモータースポーツにおける炭素削減のために非常に重要です。DHLのように同じ志をもったパートナーは不可欠であり、ネットゼロという目標に向けて今後も共に取り組んで参ります」。
モータースポーツによる社会・経済・環境への貢献も
いっぽう、DHLでモータースポーツ・ロジスティクスを担当するポール・フォーラー氏は次のように付け加えた。
「今シーズン、18台のバイオ燃料トラックを導入したことは、フォーミュラ1にとっても弊社にとっても、より持続可能な未来に向けて大きな一歩となります。
平均して83%の削減は驚くべき成果で(今年6月の発表時は『60%以上を目指す』としていた)、誇りに思います。F1のオフィシャル・ロジスティクス・パートナーでありグリーン輸送のリーダーである弊社は、F1の持続可能性目標に貢献できることをうれしく思います」。
F1では2026年までに次世代のハイブリッドエンジンの導入を予定しており、レーシングカーも先進のサステナブル燃料で走ることになる。また、アラムコとの提携に伴い、今年はF2およびF3チャンピオンシップで55%サステナブル燃料が導入されている。
モータースポーツ分野では従来のエンジンでそのまま使えるドロップイン可能な燃料が重要で、エネルギー会社は大きな経済規模を有するF1のために新型燃料を開発している。
こうした開発を通じて、モータースポーツはもっと広範囲の自動車・輸送業界全体に計り知れない良い影響を与えるだろう。
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