いよいよ2024年問題が間近に……果たしてどうなる!? 今年相次いだ物流の法制度やルールの改正の影響をあらためて考察!!

改正「改善基準告示」

 改正「改善基準告示」は拘束時間、休息期間、連続運転時間、「430休憩」等を定めるものだ。1日の拘束時間が基本的に13時間以内であることは現行と変わらないが、現行では上限が16時間であるのに対し、改正後は15時間以内となる。

 休息期間(勤務間のインターバル)は、現行の継続8時間以上から、「継続11時間を基本とし、継続9時間以上」に増やされる。

 ただし、長距離運行に関しては運行を早く終えられるように特例があり、拘束時間は現行通り16時間、休息期間は8時間でよい(回数の制限あり)。

 分割休息は現行の1回4時間以上が、3時間以上から認められるようになる(2分割の場合、合計10時間以上)。

 逆に緩和されるのが「430休憩」で、現行の連続運転時間は4時間だが、パーキングエリアなどにトラックを停める場所がない場合に限り、4時間30分まで延長できるようになる。

高速道路のパーキングエリアの路肩に停まるトラック。ドライバーにとって駐車問題は深刻だ
高速道路のパーキングエリアの路肩に停まるトラック。ドライバーにとって駐車問題は深刻だ

 結果的に、地場では最長拘束時間が16時間から15時間に短縮になり、例えば8時~24時勤務が8時~23時勤務になる。これでもまだ長いが、まっとうな改正だと思う。

 個人的には、夜勤や早朝出勤は身体への負担が大きいため、拘束時間を短縮する規定を設けるべきと思う。長距離に関しては3時間以上を分割休息と認めるなど、現行より規制がやや緩くなったといえる。

どうして運賃が安いのか

 2024年問題であるが、給与体系が「歩合制」のドライバーでは仕事量が減り、給料が目減りする心配がある。運賃や賃金単価が上がれば問題は解決するのだが……。

 消費者物価はどんどん上がっているのに、運賃は2024年問題であるが、給与体系が「歩合制」のドライバーでは仕事量が減り、給料が目減りする心配がある。

 運賃や賃金単価が上がれば問題は解決するのだが……。消費者物価はどんどん上がっているのに、運賃はなかなか上げられない。

 運送業は取引先が企業である場合が多く、部品の納入などと同様に、「下請け」的な立場になる。そのため、どうしても値上げ交渉がしにくい。

 給料自体が上がらないのはそうした事情もあるが、他の産業でも「エッセンシャルワーカー」の賃金が安く、そちらに引っ張られているという面もある。

 バブル期以降は製造業の海外移転により国内の労働者の需要が減り、現代でも自動化、ロボット化、セルフレジ等で労働者の需要が減っている。

 しかしながら、働きたい人や働かなければならない人の人口はそれほど減らないので、需要と供給の関係でエッセンシャルワーカーの賃金が下がり、生活が苦しくなる。

 自動化の先には楽な生活が待っているかのようだが、実は違う。ドライバーの賃金や運賃の問題は、日本経済の競争力の向上や、AI化が進んだ社会に対応した雇用制度など、本質的にはもっと大きな問題なのではないかと思う。

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