日野自動車は11月27日、大型トラック「日野プロフィア ハイブリッド」を一部改良し、12月5日から発売する。高速走行時のCO2排出削減を追求した画期的なハイブリッド(HEV)技術を搭載する大型トラックで、今回の改良では、先進ドライバー支援システム(ADAS)の機能向上と、新たに外部給電機能の搭載を実施した。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/日野自動車
国産唯一そしてユニークな大型ハイブリッドトラック
国産唯一の大型HEVトラックであるプロフィア ハイブリッドは、排気量8.9リッターのディーゼル車をベースに、パラレル式ハイブリッドシステムを搭載したモデルで、2019年に市場投入された。
国産車に限らず欧州車・米国車でも、クラスを問わずHEVトラックのほとんどが回生を得やすい条件、すなわちストップ&ゴーの多い都市走行をメインとしている。しかしプロフィア ハイブリッドは、それとは真逆の高速走行をメインとする条件でCO2排出削減を狙うという、ユニークな大型HEVトラックなのだ。
高速走行する車両総重量25トン大型トラックは、同時に巨大な慣性エネルギーをもっている。そのため、下り勾配での速度調整(減速)やブレーキング時には、大きな減速エネルギーが発生する。この減速エネルギーで回生(発電)する電力を、電気モーターによるトルクアシストあるいはEVモード走行で利用するのが、プロフィア ハイブリッドの特徴だ。
日野は、この回生をより効率的に得るために、AI(人工知能)も活用したHEV専用の予測パワートレーン制御という、非常にイノベーティブな技術もプロフィア ハイブリッドで実用化している。これは今後、開発が実用段階へと進む燃料電池車(FCV)やシリーズ式プラグインハイブリッド車(PHEV)などにおいても、核心的な技術になるのではと思われる。
ハイブリッドならでは! 外部給電機能を新たに搭載
今回の改良(2023年型)では、HEVパワートレーンがもつ発電能力を、災害などの非常時に電源として活用できる「外部給電機能」を搭載した。
実際に家電などへ電力を供給するためには、別売りの「外部給電器」が必要となるが、高電圧バッテリーとディーゼルエンジンの発電運転により、軽油300リットルで約82時間(出力4.5kW時)または約41時間(出力9.0kW時)、軽油500リットルで約149時間(出力4.5kW時)または約75時間(出力9.0kW時)にわたって給電可能で、非常時での電源として活用できる。