BEVながらエンジン車に迫る積載力と架装性を実現
エルフ ミオEVは、新型エルフ/エルフEVと同じく次世代小型トラックプラットフォーム「I-MACS」(Isuzu Modular Architecture and Component Standard)を採用した、軽量版BEVモデルだ。型式は「ZAB-NHR48AF」で、エルフ ミオが従来の1.5トン積み車型・NHRを継承することもうかがわれる。
高電圧バッテリーは、エルフEVと共通の容量20kWhリチウムイオン電池を2基搭載、シャシーフレーム中央部と右外側に1基ずつ配置したことで、ディーゼル車に近い架装性を実現する。
モーターも、エルフEVと同じZF製のセントラルドライブ型CeTrax Liteで、車格に合わせて最高出力を90kWに減格しているが、最大トルクは370Nmで同一だ。
主要モデルとして諸元の一部を公表している車型は、標準キャブ・標準ホイールベース・フラットロー(後輪小径ダブルタイヤ平床)に木製平ボディを架装したもので、GVWはもちろん3.5トン未満(3.49トン)だが、最大積載量1.05トンを確保している。
この積載スペックは、GVW3.5トン未満で内燃エンジンを搭載する唯一の小型トラック、トヨタ ダイナ1t積系ガソリン車の最大積載量1.25トンには及ばないものの、コンベンショナルなラダーフレームシャシーの量産型キャブオーバーBEVかつ積載量1トンを超えたクルマは、国産初である。
いっぽう、国交省審査値の航続距離は115km(国連協調規格のWLTCモード)で、もちろん内燃エンジン車には及ばない。ただ、いすゞ調べによると、2~3トン積みトラックユーザーのうち53%が、1日あたりの平均走行距離は100km以下としており、短距離ユーザーのニーズには理論上、応えられるとみられる。
新型エルフ譲りのキャブとADASを搭載
キャブは、新型エルフで約30年ぶりに新規開発された標準キャブで、小型車枠に入るサイズながら、ステアリングホイールの小径化とシート形状・素材およびスライドピッチの最適化、ダッシュボードの形状改良で、様々な体形のドライバーに対応したドライビングポジションが得られるようになっている。
先進ドライバー支援システム(ADAS)には、全車速車間クルーズ(FACC)、ドライバー異常時対応システム(EDSS)、ドライバーステータスモニター(DSM)、可変配光型ヘッドライト、衝突回避支援・被害軽減ブレーキ(直進時・右左折時)、交差点警報、自動作動機能付き電動パーキングブレーキ(EPB)など、充実した設定である。
また、BEVに対応した車両コンディション情報と充電管理が行なえるコネクテッド「PREISM」を実装し、遠隔車両情報モニタリングを活用した迅速な修理などのアフターサービス機能も備えている。
エルフ ミオEVはリース販売のみとし、車両価格も非公表だが、カーボンニュートラル事業に取り組むトラックユーザーを対象としたトータルソリューションプログラム「EVision(イービジョン)」を通じて、BEVの導入・運用をサポートする。
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