物流センターをeキャンターの急速充電ステーションに!? 三菱ふそうが物流施設の大手運営会社と協業へ!!

物流センターをeキャンターの急速充電ステーションに!? 三菱ふそうが物流施設の大手運営会社と協業へ!!

 ESR、三菱ふそうトラック・バス、ダイムラー・トラック・ファイナンシャルサービス・アジア(DTFSA)の3社は、2024年1月19日にeモビリティ向けのソリューションの検討・実施について、基本合意書を締結したと発表した。

 今回の協業は、カーボンニュートラルなグリーン物流の確立を目指す上で欠かせない、物流施設での充電設備の配備や、経路充電(移動途中での充電)としての活用を検討するというものだ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/三菱ふそう・フルロード編集部

基本合意のあらまし

ESR尼崎ディストリビューションセンターで充電する三菱ふそうの新型eキャンター
ESR尼崎ディストリビューションセンターで充電する三菱ふそうの新型eキャンター

 ESRはAPAC(アジア太平洋地域)を中心にグローバル展開する不動産アセットマネジメント会社で、物流施設・データセンターの開発・運用などを行なっている。

 日本では首都圏・関西圏・中京圏(三大都市圏)と九州に物流施設・データセンターを開発しており、日本最高層の9階建て「ESR東扇島ディストリビューションセンター」の他、33の物流施設を竣工させ、現在、データセンターを含む13プロジェクトが開発中だ。

 物流施設やデータセンターの不動産開発においては、省エネ・再エネを活用した建築計画に基づき環境と人を第一に考え開発しており、自家消費型太陽光発電システムの導入や、物流施設にEVトラック向けの高速充電ステーションをいち早く配置するなど、積極的にGX(グリーントランスフォーメーション)推進に取り組んでいる。

 いっぽう三菱ふそうは、電気小型トラック「eキャンター」新型モデルを2023年3月に発売(初代モデルは世界に先駆け2017年に発売開始)。同時に顧客のEVシフトを包括的に支援する「FUSO eモビリティソリューションズ」の取り組みを進めるとともに、2039年までに製造拠点のカーボンニュートラル化の実現を目指す商用車メーカーだ。

 こうした背景のもと、ESR、三菱ふそう、DTFSAでグリーン物流への道筋が合致。ESRが開発・運営する物流施設と三菱ふそうのeキャンターや他ゼロエミッション車両(ZEV)を活用したグリーン物流の確立に向け、3社間の基本合意書の締結に至った。

今後の展開

 合意書では、以下5つの取り組みに重点を置くことを定めている。

1. 日本国内の首都圏を中心とするESRの物流施設にFUSOのZEV向けのグリーン充電網を整備
2. ZEV向けインフラの整備など、カーボンニュートラルな物流の促進に向けたESRの国内物流施設の活用について共同で検討
3. ESRの物流施設でESRの太陽光発電設備などを活用したFUSOのZEVへの再生可能エネルギー供給の実現に向けた戦略・商業モデルを共同で立案し、EVトラック運用の環境価値を向上
4. FUSOのZEVのバッテリーまたは2次利用バッテリーをESRの物流施設で活用するための戦略を検討し、EVバッテリー資源の効率的活用に貢献
5. 上記の取り組み事例や知見を活かし、日本国内のみならず、ESRグループのAPAC(アジア太平洋地域)の拠点への展開も視野に入れ、同地域の脱炭素化へ貢献することを目指す

現状、EVトラックの運用はクルマを使用しない時間帯に自社の拠点で充電するのが一般的
現状、EVトラックの運用はクルマを使用しない時間帯に自社の拠点で充電するのが一般的

 現状、公共のEV充電設備はさまざまな施設に設置されているが、低出力の普通充電器(3kW〜6kW)も多くあり、EVトラックの経路充電やバッテリー残量がほとんど無い緊急時のセーフティーネットとしての活用は難しく、EVトラックの運用にはユーザー自身の拠点で充電を行なう「基礎充電」が一般的となっている。

 そこで、最初の取り組みとして、2024年以降に千葉県から神奈川県にかけての首都圏湾岸エリアに所在するESRの物流施設に、eキャンター向けの急速充電設備を順次設置。経路充電や緊急時の充電に活用できるようにすることで、EVトラック活用の可能性拡大を目指す。

 その後は、試行フェーズに基づく感触や今後のニーズ見通しを踏まえつつ、三大都市圏を中心に構築しているESRの他の物流施設にも拡大させ、ZEV向けのグリーン充電網を整備する計画だ。

 また、充電には主にESRの物流施設の屋上に設置した太陽光発電設備で発電したグリーン電力を活用し、持続可能な運用モデルを実現していくとしている。

 さらに、eキャンターの充電中には、ESRの物流施設内のラウンジやシャワーなどのアメニティ施設をEVトラックドライバーにも開放し、「充電待ち」の時間を休息に活用できるサービスも提供する計画で、2024年問題を見据えドライバーの休憩時間確保もサポートしていく予定だという。

次ページは : 3社の代表コメント

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