将来のトラック燃料・水素の供給源になれるか!? 日本が技術研究でリードする「高温ガス炉」とは?

「水から水素」にも2つの方法

SMERT ENERGY WEEKでの展示ボード。下に水素製造方法の候補案が記載されていた
SMERT ENERGY WEEKでの展示ボード。下に水素製造方法の候補案が記載されていた

 もちろん、メタン水蒸気改質法とは異なる水素製造方法も検討する予定です。原子力機構では、候補として「高温水蒸気電解法」「メタン熱分解」「IS法」の3例を挙げています。

 このうち「水から水素」は、高温水蒸気電解法とIS法の二つです。前者はHTTRによる発電、あるいは「ヘリウムガスタービン発電」による電力を利用して、水を電気分解する方式。後者は高温ヘリウムガスの熱を直接使い、ヨウ素(I)と硫黄(S)のブンゼン反応を経て水素を取り出すという、原子力機構独自の方式です。
 
 ただ、ヘリウムガスタービン発電やIS法なども研究段階のものであり、これから実験と試験、実証テストを経ていく必要があります。仮に実用化できても、それはかなり先の話になるでしょう。

実用化は現役世代がリタイアする頃?

 お話をうかがってみると、FCEVや水素エンジン車が「水からつくった水素」で走れるようになるのは、少なくともあと20~30年という時間が必要に思えました。それまでの間に、高温ガス炉とメタン水蒸気改質プラントのタッグが実用化できた場合は、化石燃料に対する需要とCO2排出量を漸減させながら水素をつくっていく、というステップを想定しているようです。

 もちろん、いまの現役世代が40~60代になっているかリタイアしている頃でしょうが、もしも水、それも海水から水素を得られるとしたら、交通、物流はもちろん生活や産業のためのエネルギー資源を、ほぼ自給できることになり、日本のエネルギー環境が根本から変わっているかもしれません。

 しかし、東日本大震災で大規模な核災害が起きてしまっただけに、たとえ安全対策が大きく進化しているとされる次世代原子炉であっても、新設あるいはリプレースへの抵抗は起きるでしょう。「水から水素」は、将来のエネルギーをどうしていくべきか?という、日本国民全体で考えるような課題と直結したお話でもあると考えます。

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