ハイレベルな快適性とドライバー補助
生産財であるトラックで最も重視されるのは効率とコストだが、魅力的な外観と快適な室内空間が車両の購買動機として重要であるという事実を、メルセデスベンツ・トラックスは認識している。
キャブ全体のペイントワークとダーククロームのベンツのロゴ、アルミ製ステップなどは外観の中でも特に目を引く。ヘッドランプ、方向指示器、サイドマーカー、テールライトなど灯火類は、室内灯も含めて全てLED化された。ヘッドランプはオプションでマトリックスLED(多数のLEDを組み合わせることでロー/ハイビームなどの配光が可能な前照灯)も用意する。
プロキャビンのインテリアは「ストリーム」「ビッグ」「ギガスペース」の3種類で、シートヒーター、平織のシートカバー、分厚いマットレスを備えたベッドなど快適装備は充実している。
スイッチパネルの機能拡充と、環境照明、LED読書灯が新たに追加され、サイドウォールのUSBタイプCソケット、ツートンカラーのカーテン、2台目の冷蔵庫、230ボルトコンセントなども用意した
またマルチメディア・コックピットでは2025年4月から、新デザインのメニュー、音声コントロール、改善されたコネクティビティや新しいアプリが利用可能になる予定だ。
安全装備はさらに充実
欧州では2024年7月から新GSR(安全規則)が開始され、一部の安全装備が義務化されるなど大型車の安全基準が厳しくなる。
安全機能を拡充するため、カメラやセンサーといった機器が重要になっている。ダイムラーは新たに電子プラットフォームを開発し、レーダーとカメラの情報を組み合わせる、いわゆる「センサーフュージョン」技術を用いて車両の前方及び側方のセンシング範囲を広げた。
新しいプラットフォームでは6基のセンサーを搭載した上で情報処理速度を20倍に高めた。車両の前後左右に短距離レーダーを合計4基、前方用の長距離レーダーをフロントに1基、ウィンドシールド中央に多機能カメラを搭載する。これらが車両の周囲270度の視界をもたらし、ドライバーの直接視界を補助している。
この270度の合成視界は新GSRの要件をはるかに超えるもので、第6世代に進化したABA(アクティブ・ブレーキ・アシスト)など、各種の安全装備はこれを活用している。ABA6は、同一レーンの歩行者・対向車等に対して、時速60kmから自動でフルストップが可能となった。前方の静止車両に対しては従来通り時速80kmからのフルストップが可能で、より優れた危険検出のため最大250m先までマルチレーンを監視している。
側方の危険を検出するASGA(アクティブ・サイドガード・アシスト)も第2世代に進化し、2段階の警報と自動ブレーキ、車線変更時の警告などにセンサー情報を利用している(新GSRの要件は警報を発することのみ)。
また車両の停止・発進時や交差点でドライバーを補助するフロントガードアシストにも270度のセンサーフュージョン技術が活用されている。前方0.8m/側方4mという大型トラックのブラインドスポットをカバーするためだ。
(どれほど優れたシステムも物理的な限界を超えることはできない。また車両を安全に運転するための全責任はドライバーが負っている)
レベル2相当の自動運転機能を備えるドライバー補助や、地形・道路・交通標識等を考慮した予測制御付きクルーズコントロールも安全機能と協調して働く。なお、2025年からはナビゲーションシステムとのルート情報の共有が始まる予定で、交通イベントの事前予測も可能になるそうだ。
コネクティビティによる無線アップデートや24時間サービスなどは今年から既に利用可能で、追加コンポーネントも予定されている。他にもメルセデスベンツ・トラックスは運転評価などのテレマティクスサービス、路上故障を未然に防ぐ予防整備など運行管理者向けにも様々なサービスを提供している。
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