リトレッドとリグルーブは何が違う!? いまさら聞けない使用済みタイヤの再生技術を解説

ミシュランタイヤが推奨するリグルーブ

リグルーブ作業では、残溝に応じリグルーバー(溝を刻む機械)のブレードを調整し溝を刻んでいく
リグルーブ作業では、残溝に応じリグルーバー(溝を刻む機械)のブレードを調整し溝を刻んでいく

 いっぽう、国内で唯一ミシュランタイヤが推奨しているリグルーブは、中型〜大型車のTBタイヤに対応し、「ミシュランリグルーブサービス」というステッカーが貼られた同社のTBタイヤを取り扱うタイヤショップなどで行なうことができる。

 同社TBタイヤにはリグルーブの使用を前提とし、溝底とベルトの間に3〜4mm厚のリグルーブ可能範囲となるゴムと、2mm厚のアンダートレッド(サイズによって異なる)があり、タイヤごとに定められた推奨深さ(概ね3mm〜4mm)まで溝を掘ることができるようになっている。

 実際には、残溝2mm〜4mmの段階でリグルーブすることが決められており、この残溝(最も浅い箇所)+推奨深さにリグルーバーのブレードを設定して溝を刻んでいく。

 ちなみに、同社TBタイヤの多くにはスリップサイン上に「リグルーブ・デプス・インジケーター」と呼ばれる穴を設けている。この穴はここまで掘れるという深さを表しており、深さを計測することで迅速なリグルーブを可能としている。

リグルーブ後のトレッド。リグルーブ作業を普段から行なっているタイヤショップのプロの場合、サイズや刻む溝にもよるが1本あたりだいたい20分ほどだという
リグルーブ後のトレッド。リグルーブ作業を普段から行なっているタイヤショップのプロの場合、サイズや刻む溝にもよるが1本あたりだいたい20分ほどだという

 リグルーブで増やせる溝の深さは新品タイヤの約1/3ほどとなり、前述の通りライフ延長は最大25%。最大90%のリトレッドと比べると短いが、継続して行なえば4本で新品タイヤ1本と同等のライフとなり、コストは4本で新品の40%ほどで済む。

 また、リトレッドの場合前軸への使用は推奨されていないが、リグルーブの場合はフロントタイヤとして使用できる(使用条件による)メリットもある。さらに、摩耗が進んだタイヤがベースとなるので転がり抵抗が低減し、燃料改善に貢献できるという特徴も備えている。

 以上のように、リグルーブもリトレッドもそれぞれに特徴あり、これらのタイヤ再利用技術を上手に使い分けて活用していけば、トータルコストで見ると高い費用対効果をもたらしてくれるのだ。

オフロード用を除き、フロントタイヤにも使用できるリグルーブ
オフロード用を除き、フロントタイヤにも使用できるリグルーブ
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