EV充電の新たな選択肢となるか!? 「eキャンター」を用いてワイヤレス充電の実証試験を実施へ!

EV充電の新たな選択肢となるか!? 「eキャンター」を用いてワイヤレス充電の実証試験を実施へ!

 EVの充電方式は充電ケーブルを用いてのプラグイン充電が一般的。ただ最近では、三菱ふそうやいすゞ自動車がバッテリー交換方式の研究も進めている。

 そんな中、さらにワイヤレス充電という新たな選択肢を模索する動きも出てきた。非接触で充電できるワイヤレス充電は一体どんな仕組みになっているのだろう?

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真・図/ダイヘン・三菱ふそう・フルロード編集部

電気小型トラックを用いて停車中ワイヤレス充電の実証試験を実施

送電ユニットと送電コイル、車両側の受電ユニットと受電コイルで構成されるワイヤレス充電(WPT)のイメージ
送電ユニットと送電コイル、車両側の受電ユニットと受電コイルで構成されるワイヤレス充電(WPT)のイメージ

 三菱ふそうトラック・バスは、電気小型トラック「eキャンター」を用いた停車中ワイヤレス充電(Wireless power transfer=WPT)の実証試験を、株式会社ダイヘンおよび三菱総合研究所と共同で2025年に実施する。

 この実証試験は、環境省の「令和6年度運輸部門の脱炭素化に向けた先進的システム社会実装促進事業」に採択されたもので、実証試験における検証内容をもとに商用EVの利用者が参照できる導入ガイドラインを発行し、ワイヤレス充電システムの社会実装を支援することを目的にしている。

 実証試験では、ダイヘンが開発した停車中ワイヤレス充電システム「D-Broad EV」を用い、「eキャンター」にワイヤレス充電向け装備を施したうえで、公道走行と停車中ワイヤレス充電を組み合わせて行なう。

 三菱総研は、ワイヤレス充電システムの社会実装を実現するため、 産学官と連携して法整備やビジネスモデルの構築等を推進する。

 実証試験において、ダイヘンと三菱総研はワイヤレス充電システムの実用性やEVトラックへの適合性、普及に向けた課題などを検討。三菱ふそうは「eキャンター」のワイヤレス充電への可用性などを検証する。

ワイヤレス充電の仕組み

 では、ワイヤレス充電の仕組みとはどうなっているのだろうか?

 ワイヤレス充電では、電気を送る側のコイル(送電コイル)と受け取る側のコイル(受電コイル)の2つが使われている。

 送電コイルに電気を流すと送電コイルに磁界が生まれ、受電コイルまで磁界がつながる。この2つの磁場が結びつくことによって離れていても電気を送ることができ、充電が可能になる。

 EVに応用する場合は、送電コイルを地面に、受電コイルをEVの底の部分に設置することで充電する仕組みだ。

WPTでは、送電路に2つのコイルを置くことで、送電コイルから受電コイルへ磁界がつながり非接触で電力を送ることができる
WPTでは、送電路に2つのコイルを置くことで、送電コイルから受電コイルへ磁界がつながり非接触で電力を送ることができる

 今回のワイヤレス充電のキモとなる「D-Broad EV」を開発したダイヘンは、1919年12月、大阪変圧器株式会社として設立され、以来、変圧器をはじめ溶接機やロボットなどに注力。最近は充電インフラでも注目されている研究開発型の企業である。

 ダイヘンの「D-Broad EV」のワイヤレス充電システムは、独自の技術と「磁界共鳴方式」の採用により、コイル同士の距離が離れた場合や、駐車時に位置ズレが発生した場合においても効率を落さず、ケーブル接続式のプラグイン充電器と同等の充電が可能だという。

 現在普及しているプラグイン充電器に対し、ワイヤレス充電システムは駐車場などに「停めるだけ」で自動的に充電が開始されるため、充電にかかる手間や充電忘れもなくなり、EV運用の利便性が大幅に向上する。

 トラックの場合、荷物の積み降ろし中や物流拠点での待機中の充電も可能だ。

 また、「D-Broad EV」は15kWという高出力により普通充電器の約5倍の速度(出力3kWの普通充電器との対比)で充電が可能で、CHAdeMO規格に準拠。

 CHAdeMO充電ポートを備えるさまざまな車両に、車両側ソフトウェアを変更することなく後付けで搭載でき、各機器が空冷仕様のため取り付けも容易となっている。

3kWの普通充電器比で充電速度は約5倍(eキャンター等で普及する6kWの普通充電器では単純計算で約2.5倍)。なお、「D-Broad EV」の出力は並列接続することで30kW、45kWと急速充電レベルに増加できるとし、今回の実証では30kWの高出力のWPTシステムの開発も行なう
3kWの普通充電器比で充電速度は約5倍(eキャンター等で普及する6kWの普通充電器では単純計算で約2.5倍)。なお、「D-Broad EV」の出力は並列接続することで30kW、45kWと急速充電レベルに増加できるとし、今回の実証では30kWの高出力のWPTシステムの開発も行なう

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