道路交通法では、緊急走行中の緊急車両が自車に近づいているのにも関わらず、そのまま走行を続けるのは「緊急車等妨害違反」。反則金は、普通車の場合だと6000円、交通違反点数は1点(PHOTO:写真AC_ fujikiseki1606)
緊急走行中の緊急車両が、一般道や高速道路などで、本線車道に車線変更するときや、本線車道に合流するときに進行を妨害するのは「本線車道緊急車妨害違反」。こちらも、反則金は普通車で6000円、交通違反点数は1点(PHOTO:写真AC_ DR_AC)
「緊急車両」に該当するのは、「政令で定める自動車で、当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のもの(道交法第39条第1項)」。具体的には、救急車やパトカー、消防車のほか、JAFやハイウェイパトロール、電気やガスといったインフラ系の緊急作業車、自衛隊など。いずれも「赤色の警光灯が点灯しているとき」には、道を譲らなければならない(PHOTO:写真AC_まぽ)
救急車のサイレン音に関しては近年、「聴こえづらい」という声も多いという。サイレン音には、「前方20メートルの位置において90デシベル以上120デシベル以下」という基準があるが、この音量基準は1951年から見直しがされていない(PHOTO:写真AC_熊澤充)
カーエアコンの普及で窓をあけて走行するクルマも少なくなったうえ、昨今は、サイドガラスに遮音ガラスを採用するクルマも増えており、クルマの外の音がシャットアウトされてしまう。聴こえづらいのは当然のことだ(PHOTO:写真AC_FineGraphics)
サイレン音は高齢者には聴きづらい周波数であるため、ドライバーの高齢化も救急車に道を譲らないドライバーが多くなっている一因と考えられる(PHOTO:写真AC_photoB)
近年は、救急車のサイレン音が「うるさい」との苦情も多いようで、サイレンを製造するメーカーも、決められた基準のなかで、音量を下げたり音質を柔らかくしたり、音が広がらないようスピーカーの位置を工夫したりしているとのこと。総じて耳触りがよくなり、気づきにくさにつながっているとも考えられる(PHOTO:写真AC_FineGraphics)
海外では、高齢者にも聴き取りやすいよう、複数の周波数をもつサイレン音を採用している。日本も、サイレンの音量や音質、スピーカーの位置など、見直しが必要であろう。また、カーナビに緊急車両の位置情報を表示させる、という技術開発も進んでいる。位置が分かることで早い段階から対応ができることから、期待できる技術だといえる(PHOTO:写真AC_beauty-box)
ドライバーへの啓発も必要だ。「違反になるから」ではなく、緊急走行中の救急車には、人命がかかっていることを想像してほしい。いつかは自分や家族が、緊急車両に乗る側に回るかも知れない。緊急走行中の緊急車両には、しっかり道を譲ろう(PHOTO:写真AC_Haru photography)