■「東京モビリティ会議2024はどうだったか?」「どのようにあるべきか?」
【西川昇吾(自動車ジャーナリスト)】
媒体編集長、ジャーナリスト、現役大学生、空間デザイナー……。自動車とさまざまな関わりをしている人間が集まったが、クルマ、いやモビリティというのはココまで広がりが工業製品であることを改めて感じた。
各種お題に対しても思うことは人それぞれだ。ここまで思いのアプローチが異なる工業製品もそう多くないだろう。筆者の自動車が好きな大きな理由に「工業製品としてこれほど個性に溢れるものはない」というのがある。登壇者それぞれ好きな自動車が異なるし、モビリティへの考えも違ったことはあった。それは自動車やモビリティが単なる移動手段ではなく、個性に溢れた工業製品であるからだろう。自身がこの仕事を好きでしている理由を改めて見つめ直すことが出来た。
ただ、全員共通している思いもあった。それは、日本が世界に誇れるモビリティという産業を衰退させてはいけないということ。そのためにも自動車ジャーナリストとして微力ながら力添えをしていきたい所存だ。
【黒木美珠(自動車ジャーナリスト/Youtuber)】
若いクルマ好き同士で話せる機会は決して多くはないものです。「若い世代は自動車やモビリティについてどう感じているのだろう」と、日々抱いていた疑問が、今回のトークショーを通じて少し解けた気がします。先の未来は、今どんなに予測しても、必ずしもその通りになるとは限りません。
しかし、モビリティ全体について真剣に考えている若い層がいることに、頼もしさを感じると同時に、自分自身の励みにもなり、「呑気にしていると置いていかれる」という少しの危機感も覚えました。若手が教育を受ける場が増えるのは喜ばしいことですが、それだけでなく、若い世代同士がもっとコミュニケーションをとり、互いに刺激し合いながら未来に向かっていけたらと強く感じました。
【板倉拓寿(大学生)】
実際にメーカーに勤めている方やメディアに勤めている方の前で、トークショーといった形で現在のモビリティ社会に対して切り込んでいく、というのは非常に大事なことで、個人的にはもはやメディア主催はもちろん、メーカー主催でユーザーのリアルな声を聴く機会はもっともっと増やして良いのではないかと感じました。
欲を言えば自分を含め、少し遠慮してしまっている点が少なからず存在しており、きっとそれは聞き手にも伝わってしまっているのではないかと感じています。滅多にないチャンスである為、こうした場を利用して現代のモビリティ社会に対して普段感じていること、各メーカーに伝えたいことを声を大にして述べる。それこそが今回の様なトークショーの醍醐味であると感じました。
総じて、モビリティ会議自体には全くもって問題ナシ、寧ろこうした機会をどんどん増やすべきであると考えます。トークショー自体の認知度が高まり、意見を述べたい者が増加、そうすることでユーザーとメーカーがより近づいた関係性を保てるのではないかと感じます。”
【大坂怜央(大学生)】
「将来のモビリティ社会について」や「電動化について」など、さまざまな議題をテーマに対し、自分たちのような若い世代から未来について考える良い機会をいただくことができました。
緊張で頭の中こんがらがって上手く言葉にできなかったですが、司会の塩川編集長をはじめ、登壇者の方々に助けていただきながら、自分自身が思っていることや言いたいことが言えた、とても貴重なイベントだと思いました。
談義する中で、一人一人が違った価値観を持ちながらも共通してクルマというものがただの交通手段になるのではなく、楽しさを持っているものであることを望んでおり、自分自身と考え方がマッチする方々が若者の中にもいることを知ることができました。
クルマ好きという人々がマイノリティになりつつある現代で、我々が思っていることを発信できる貴重な機会を設けてくださり本当にありがとうございました。
【後藤和樹(空間デザイナー)】
(司会の)塩川さんもトークショー内で仰っていたように、現在クルマ社会を牽引していっている方々は高齢化していると思います。さらにはSNS等の発展によって、物事に対して思った事を発信しただけで炎上してしまったり、誹謗中傷を受けたりしてしまう残念な世の中です。
そんな中、少なからずいる若者のクルマ好きに可能性を感じ、光を当ててくださり、世の中に発信できる場を与えてくださったことは、本当に嬉しい限りでした。今のクルマ社会に対して、それなりに思うことはあれど、これを公にする場というのは極々限られており、他にもあまりなかった取り組みに思います。
雑誌や編集、現代のジャーナリスト様の意見だけが、世論の代表というわけではなく、より読者に寄り添った意見が、この討論会には確かにあったと思い、忖度なく思ったことを言える場が、今後も増えていってほしいですし、この取り組みで少しでも楽しいクルマ社会がやってくることを、切に願います。
【島崎真徳(大学生)】
次回も行うのであれば、時間の拡充、各メーカーの若手に登壇してもらうことでしょうか。面白くなると思いますよ。若手からどう自分のメーカーが見られているか、思われているかを上層部が知る良い機会になると思います。
そして、ステージ上の椅子を近づけたり多少半円状にしたりとかどうでしょう。そうしたほうが議論しやすいかなと。後藤さんも仰っていましたが、「塩川さん対誰か」みたいな構図だったと思います。僕はこう思うけど君はどう思う?みたいに話の発展、深化もしようと思えば出来るのではないかと思います。そして話し合いをするなら多少観客から見にくくなったとしても半円状にするのは必要かなと思います。今回私は端の席だったので大した労力なしに全員の意見を聞けました。しかし、板倉さんとか大変だったのではないでしょうか。左右どちらも常に見ないといけなかったですから。そして次回以降会話の深化を志すならばもっと大変になると思います。
以上が次回実現してほしいことですが、全体を見返しても特段欠点もなかったのでベストカーさんの想定、運営能力が高かったと感じます。次回も是非企画されてくださいね。
【寺崎彰吾(本企画総合ディレクター)】
『アメトーク』というバラエティ番組によって「家電芸人」というジャンルが生まれました。家電製品に詳しい芸人さんが、それぞれ好きな最新家電の機能についてプレゼンしてゆく内容です。「このクルマ版が出来たらなあ」と思っていました。
今回、若者たちに自由に「クルマについて」「自動車メーカーについて」語ってもらったことで、そんなかつての願いを思い出しました。よかった点は若い人たちの素直な気持ちを聴けたこと。クルマのコモディティ化が叫ばれるなかで、まだまだ各社、各車の個性を愛する声は大きいんだなと感じられました。
次回の改善点は、どうしても「司会対発話者ひとりひとり」となってしまったこと。もっと発話者同士で議論できたら、盛り上がる話題があっただろうなと思います(『朝まで生テレビ』のような構成が必要かなと思います)。次回似た企画をやるとすれば、Liveでもいいのですが、もっとしっかり時間をとって、それをテーマごとに動画で編集するかたちがいいのではないかなとも思います。
【画像ギャラリー】「東京モビリティ会議2024withベストカー」イベントの様子(9枚)画像ギャラリー
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