伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ次世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、12巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数300万部を突破した。
同作品に登場したクルマたちの世界観と魅力を読み解いていく本連載。第三回の今回は、イタリアの猛牛こと「ランボルギーニ」のV10マシンを取り上げる。
文/安藤修也
マンガ/しげの秀一
■イタリアン・ブランドの屋台骨を支えるモデル
「ランボルギーニいちの名車といえば?」と問われた時、その答えは、世代ごとに異なるに違いない。
例えば、スーパーカーブームを経験した50代以上の人であれば、 「カウンタック」あるいは「ミウラ」と答えるだろう。しかし、筆者にようなアラフォー世代にとっては、1990年代の「ディアブロ」のイメージは強烈だったし、アウディ傘下での第一弾モデルとなった「ムルシエラゴ」も強い印象を残している。
これらはどれもV12エンジンを搭載したモデルばかりだが、実はランボルギーニで最も販売的に成功を収めたのは、V10エンジン搭載モデルなのだという。ランボルギーニの象徴であるV12モデルには長い歴史があり、現在も販売され続けているが(「アヴェンタドール」シリーズ)、この情熱的なブランドの根幹を支えてきたのは、“ベビーランボ”とも称されるV10モデルなのだ。
現役のV10モデルであるウラカンは、ガヤルドの後継車種として2014年から日本へ導入されている。1999年にランボルギーニがアウディの子会社となって以降、同社のスーパーカーはアウディ社の技術(エンジンやアルミフレームなど)をもとに開発されてきたが、このウラカンも後に発売されることになる2代目アウディR8の兄弟車となっている。
車名は、ランボルギーニ歴代モデルの慣例に則り、闘牛界のレジェンド(つまり牛!)の名前から取られた。実用性を考えた結果、V12モデルのような上方に開く“シザースドア”は採用されなかったが、全体的なデザインは、先に登場していたV12モデル、アヴェンタドールの低くワイドなスタイリングが踏襲されている。先代モデルのガヤルドも直線基調のシャープなイメージだったが、より先鋭的で動物的な雰囲気を持つ。
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