トヨタ ライズが発売から5年以上を経過しても売れ続ける理由 そこには必然が隠されていた!

トヨタ ライズが発売から5年以上を経過しても売れ続ける理由 そこには必然が隠されていた!

 2024年度(2024年4月~2025年3月)の小型/普通車登録台数ランキングによると、トヨタライズが1か月平均で5678台を登録した。ライズの発売は2019年11月で、発売から5年以上を経過するが、好調な売れ行きを続けている。なぜ、ライズがこれほど売れているのだろうか、徹底解説!

文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ

価格はガソリン車が180万700~223万5200円。ハイブリッド車が226万3800~244万2000円
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なぜライズがこれほど売れているのか?

価格はガソリン車が180万700~223万5200円。ハイブリッド車が226万3800~244万2000円
価格はガソリン車が180万700~223万5200円。ハイブリッド車が226万3800~244万2000円

 ライズの登録台数は、2020年に発売された現行トヨタハリアーを上まわり、2021年登場の現行ホンダヴェゼルと同等だ。設計が古い割になぜ堅調に売れているんだろうか? ライズの販売が好調な理由を販売会社に尋ねると、以下のように返答された。

 「ライズはSUVだが、実用的な小型車が欲しいお客様の間で人気が高い。全長が4m以下のボディは、小回りの利きも良いから運転しやすい。その一方で車内は比較的広く、後席はヤリスクロスと同等か、それ以上に快適だ。価格の安さも魅力だから、ハイブリッドだけでなくノーマルエンジンも堅調に売れている」。

ライズのコクピット
ライズのコクピット

 このようにライズは、SUVでありながら、運転しやすく車内の広いコンパクトカーとしても購入されている。背が高いから乗降性も優れ、実用的に使えるわけだ。

 価格の安さも注目される。直列3気筒1.2Lノーマルガソリンエンジンを搭載するGは、衝突被害軽減ブレーキ、コーナーセンサー、LEDヘッドランプ、アルミホイールなどを標準装着して、2WDの価格が195万8000円だ。

 同じトヨタのコンパクトSUV、ヤリスクロスにノーマルガソリンエンジンを搭載した最も安価なXは、運転支援機能やディスプレイオーディオを標準装着する半面、LEDヘッドランプやアルミホイールは備わらない。それで価格は204万6000円だから、ライズGよりも約9万円高い。

 さらに販売店のコメントにあった通り、ライズは5ナンバー車で車内も使いやすい。全幅が少しワイドで3ナンバー車になるヤリスクロスよりも実用性が高く、人気車になった。

 人気車になると、中古車市場の流通価値が好転して残価設定ローンの残価(残存価値)も高まる。他方、ライズの中古車はロシアへの中古車輸出が禁止となったことが原因で高騰した。ライズは規制に当てはまらない1900cc以下のためロシアへの輸出需要が急増したからだ。

 もともとハイブリッドZは高値傾向が続いていたものの、その影響もあって新車価格を超える相場で取引されることもあった。この傾向は2025年4月時点でも変わっていない。

購入者の約40%が残価設定ローン

ライズハイブリッドZの中古車はプレミアム価格になるほど人気が高い
ライズハイブリッドZの中古車はプレミアム価格になるほど人気が高い

 残価設定ローンでは、残価を除いた金額を分割返済するため、残価が高ければ月々の返済額を安く抑えられる。最終的に残価を支払う買い取りをせず、車両を返却する場合の出費は少ない。

 そこでライズに1.2Lノーマルガソリンエンジンを搭載するG(195万8000円)と、コンパクトカーのヤリスに1Lノーマルガソリンエンジンを搭載するG(182万5000円)で、残価設定ローンを組んだ時の返済額を比較する。

 3年間の均等払い(頭金とボーナス払いはなし)では、ライズ1.2Gの月々の返済額は3万6100円で、ヤリス1.0Gは3万8200円だ。ライズ1.2Gの車両価格は、ヤリス1.0Gよりも13万3000円高いのに、月々の返済額は逆転してライズ1.2Gが2100円安くなる。

 販売店では「今は約40%のお客様が残価設定ローンで購入している」と述べている。この使い方なら、ヤリスよりも価格が高いのに返済額は安いライズがオトクだ。言い換えれば、残価設定ローンが普及したことも、ライズの人気が高くなった理由に挙げられる。

小さいお子さんがいるファミリーには使いやすい
小さいお子さんがいるファミリーには使いやすい

 このほか販売店からは「最近は受注を停止させるトヨタ車が増えて、受注している車種に販売力が集中している。特にライズは納期が2~3か月だから、今ではかなり短い部類に入り、お客様も購入しやすい」という。

 確かに今のトヨタは、受注を止めている車種が多い。アルファードとヴェルファイア、ランドクルーザーシリーズは、一部が定額制カーリースのKINTOによって利用できるものの、所有権を手に入れる購入は困難だ。

 これらの車種は受注台数に対して生産規模が小さく受注を止めたが、販売店では「それ以外の車種も、改良などを控えて受注を止めることがある」と述べる。

 そこで改めて尋ねると「現時点(2025年4月下旬時点)では、ノアとヴォクシーが1月頃から受注を停止させている。受注を止めた理由と再開時期は不明だ。シエンタも販売会社に割り当てられた受注台数の上限に近付いており、そこに達すると数か月は受注が止まる。

 プリウスは7月頃に改良を実施する。改良前の車両は受注が終了しており、受注再開はおそらく6月頃」とのことだ。細かな事情は販売会社によって異なるが、おおむね同様のことが当てはまる。

荷室長755mm、荷室幅1000mm、荷室高865mm、荷室容量369LとコンパクトSUVクラスではトップレベルの大容量を誇る。2段可動式のデッキボードや、後席を倒してフラットなスペースにすることで、多様な荷物に対応
荷室長755mm、荷室幅1000mm、荷室高865mm、荷室容量369LとコンパクトSUVクラスではトップレベルの大容量を誇る。2段可動式のデッキボードや、後席を倒してフラットなスペースにすることで、多様な荷物に対応

 ミニバンではシエンタ/ノア&ヴォクシー/アルファード&ヴェルファイア、ランドクルーザーシリーズやプリウスまで受注を停止している。その結果、販売店が述べた通り、受注していて2~3か月で納車できるライズに販売力が集中しているわけだ。

 ライズが好調に売れる一番の理由は、SUVの野性的でカッコイイ外観、運転のしやすさ、優れた実用性、割安な価格などの商品力だが、「売れるクルマがない、買えるクルマがない」という、今のトヨタの抱える課題も影響を与えていたのだ。

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