ボルボXC60が8年目の激進化!! 燃費がよくてカッコいいSUVならコイツじゃね!?

インフォテインメント系が進化。音声案内も高レスポンス!

大型ディスプレイが目立つインテリア。センターコンソールのレイアウトも変わった
大型ディスプレイが目立つインテリア。センターコンソールのレイアウトも変わった

 梅雨時とは思えない酷暑から逃げようとドアを開ける。車内はブルーグレー調のファインナッパレザーという上等なしつらえ。いっけんソフトだが、奥のほうにしっかり身体を支える芯がある。

 驚いたのはこのナッパレザー、リサイクルポリエステルの布シートにダウングレードができる。ヨーロッパでは車内のレザーフリー(動物の皮革を使わない)化が進んでいるためだが、このあたりはさすがボルボというべきか。

 ダッシュボードに目をやると、いやがうえでも中央のデカイディスプレイが目に飛び込む。

 これまでのXC60は9インチの縦型タッチ式ディスプレイを埋め込んであったが、11.2インチへと大型化して「入りきりませーん!」とばかりに前面にせり出してきた。もはや立派なタブレットだが、従来の埋め込み型に対して指で触れる面が2cmほど手前に近づいたので、操作はやりやすくなったと感じた。

 大型ディスプレイは、UI(操作手法)も新しくなった。従来は主に空調と地図という画面構成だったが、新しいディスプレイには他要素のアイコンが常駐するようになり、ワンタッチでたどり着ける機能が増えた。

 そして目に見えない部分。実は今回のXC60はここの進化が大きい。ディスプレイの大型化に伴いインフォテインメント系のSoCを高性能なものにアップデートし(クアルコム製)、地図表示やGoogleの音声指示がよりレスポンスよく行えるようになったのだ。

近い将来、音声アシスタントはジェミニに!

インフォテインメント系を掌るSoCもクアルコムの高性能Snapdragonに換装されている
インフォテインメント系を掌るSoCもクアルコムの高性能Snapdragonに換装されている

 ちなみにXC60は2022年からインフォテインメント系OSにGoogleの「アンドロイド・オートモーティブOS」を採用しているのだが(※アンドロイドオートとは別モノ)、最近GoogleはこのOSが内蔵する音声アシスタントを、生成AIのジェミニに置き換えることをアナウンスしている。

 XC60は当然この置き換えに対応しているから、サービスが始まればOTA(ネット経由)でアップデートが実現できる。ジェミニが搭載されれば音声対話のレベルが格段に上がり、ドライブ先の観光情報から今晩のご飯の献立探しまで、掛け合いによるコミュニケーションが可能になるはずだ。

 さて肝心の走りの話題が最後になった。今回は三島市街から伊豆山中を目指したので、ミラーサイクルが真価を発揮するにはもっとも不似合いなルートだったといえる(泣)。

 いっぽうXC60の移動体としての快適さは十二分に理解できた。発進はモーターアシストもあってグイッと前に出る感じ。そのままアクセルをわずかに踏むだけで、豊かなトルクが湧き出して予想以上の加速が得られる。

ボンネットがあきれるほど開いた!

1.9トンのSUVとは思えない身のこなしをみせる
1.9トンのSUVとは思えない身のこなしをみせる

 山道での振る舞いも模範的。タイヤの接地感を感じながらノーズが素直に向きを変え、思いのほかスポーティな走りが味わえる。

 こんな時はパドルシフトが欲しくなるが、最近のボルボはRデザインを廃止したからパドルシフトが選べない。代わりにセンターコンソールのオレフォスのクリスタル製シフトレバーを操って、マニュアルシフトを楽しんだ。

 1点だけネガな点をいうと、スロットル開度の浅い範囲(おそらくミラーサイクル領域)で、エンジンの燃焼音にわずかな「チープさ」を感じた。優れた燃費ゆえの音だろうし、アクセルを踏み込んでしまえばたちまち解消されるが、気になる方は試乗してほしい。なお今回のマイナーチェンジでは吸音材が追加され、車内の静粛性自体は向上している。

 試乗の終盤、エンジンの写真を撮ろうと思ったら、ヒンジが壊れてんじゃないかと思うほどボンネットフードが真上まで開いて、「ああボルボだなあ」と、思わぬところで感動した。いまや高級車として名を馳せるボルボだが、それ以前に「まっとうな乗用車」であり続けようとするボルボの哲学を、垣間見た気がする。

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