新型エクストレイルに新たに加わった「オーテック スポーツスペック」と「NISMO」。この2台の走りはどう違うのだろうか。足回りや装着タイヤなどから、両車の乗り味の違いを紹介しよう。
文:ベストカーWeb編集部/写真:奥隅圭之、日産自動車
2台ともカヤバ製スイングバルブダンパーを採用
「オーテック スポーツスペック」と「NISMO」をいう2台を担当したNMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ)では、両車に「長距離&高速走行の安心感と信頼感」という共通の目標を設定したという。
この共通の目標を実現するうえで、重要な役割を果たしているのが、双方に採用されているカヤバ製のスイングバルブショックアブソーバーだ。
このショックの特長を簡単にいうと、コーナーで車体がじわっとロールするような場面では減衰力を高めて車体の動きを抑えるいっぽう、荒れた路面でショックアブソーバーが素早く動く際は減衰力を弱め、路面に対するタイヤの追従性を上げるというイメージになる。
SUV特有のボディモーションを抑制し、上質な乗り心地と高い安定性を両立させることで、新型エクストレイルは、優れたグランドツーリング性能を実現したわけだ。
しなやかさと上質さを重視したスポーツスペック
ここまでは2台に違いがないわけだが、その先のレベルで両車は見事に差別化されている。スポーツスペックでは、車線変更での安心感や上質な乗り心地という味付け、いっぽうのNISMOは明確なスポーティ感とグリップ限界の高さなどが仕込まれた。
まずオーテック スポーツスペックでは、ヤマハ製パフォーマンスダンパーを装着した点が大きい。これにより車体の微小な振動やねじれを吸収し、入力を減衰させて快適な乗り味を実現しているのだ。
さらにパワーステアリングやVCM(ビークルコントロールモジュール)の制御も専用化し、ドライブモードごとにe-4ORCEの駆動配分を最適化。落ち着いた加速フィールと安心感のあるハンドリングも生んでいる。
ちなみに装着タイヤはミシュラン プライマシー4(255/45R20)。ロングドライブでも疲れにくい快適性を維持しつつ、確かな接地感で安心感を高めている。
鋭さとスポーツ性を追求したNISMO
いっぽうのNISMOはどうか。こちらでは「より速く、気持ち良く、安心して走れるSUV」を掲げ、走りを徹底的に研ぎ澄ました。
前述したスイングバルブショックアブソーバーに加え、NISMO tuned e-4ORCEでリヤの駆動力配分を強化、旋回時のライントレース性を高め、雪道やワインディングでは、FR車のような自在のコントローラビリティを発揮するという。
タイヤはミシュラン パイロットスポーツEV(255/45R20)を採用。20インチ化とリム幅拡大(8J>8.5J)で応答性を引き上げ、ステアリング操作に対するレスポンスは鋭く、スポーツSUVらしい走りを体現する。
同じスイングバルブダンパーを核としながらも、AUTECH SPORTS SPECは「上質で落ち着いた走り」、NISMOは「スポーティで情熱的な走り」と方向性が大きく異なる。
クルマに求める体験次第で、選ぶモデルは大きく変わってきそうだ。





















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