新型シビックは「あの頃のシビック」なのか!? 7月登場の新型シビック試乗

 ホンダでもっとも長い歴史を持つブランド「シビック」。「市民」というその名前のとおり、多くのオーナーに愛されもはや国産車の代名詞ともなったクルマである。

 そんなシビックが10代目となり7年ぶりに日本市場に帰ってきた。1800mmの車幅や、そのスタイリングなどに注目が集まるが、いったいどんなクルマなのか、ベストカーWEBが迫ります。

文:WEB編集部/写真:池之平昌信


「CIVIC」は「ホンダの魂」である

 東京からも1時間程度でたどり着けるサーキット。それが千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイだ。

 そのアクセスのよさから近年は自動車メーカーが試乗会の場所として選ぶことも多い。今回の新型シビックの試乗会も同所でおこなわれた。

 晴天のサーキットに色とりどりのシビックが並ぶ。10代目となったシビックはそのエクステリアからして日本市場専売モデルではないことはすぐわかる。

 プレゼンテーションでも「グローバルモデル」という言葉が盛んに繰り返された。でも心配ご無用。

 グローバルモデルがゆえ、ホンダシビックはパワートレインの設定など、仕向地向けのセッティングができるという。日本に導入されるシビックは1.5Lターボモデルのみ(タイプRは2.0Lターボ)。

 ホンダが日本市場にシビックを持ち込むことは簡単なことではない。そこには「国民車」だったシビックを知るファンも多いからだ。

 1800mmを超える車幅になり立派になったシビック、その姿へのアレルギーがある層だっていることもホンダはもちろんわかっているはずだ。

 しかし海外での高評価を後ろ盾にシビックは日本に戻ってきた。「日本市場での販売の状況如何では、今後のホンダの方向性にも関わる」という関係者もいたほど、ホンダは本気だ。

 プラットフォームも一新して、ゼロベースで作り上げた10代目シビック。今回はタイプRの試乗の機会はなかったが、セダンとハッチバックの印象をお届けしよう。

ハッチバック(左)はセンター出しのマフラーが特徴。セダン(右)もクーペスタイルのデザインだ

セダン、ハッチバック共通の1.5LのVTECターボ。国内展開している1.5Lターボと同じ骨格だが、冷却系、燃料系などがモディファイされている。セダンは173ps/220Nm、ハッチバックは182ps/240Nmとスペックも異なる

安定志向のセダン、曲げのハッチバック

 シビックのセダンとハッチバックを乗り比べてもっとも驚いたのがその乗り味。まったくもって異なるのだ。

 セダンはどちらかというと安定志向。直進性能は抜群でコーナリングではあくまでも安定感が優位に立つ。いっぽうのハッチバックはコーナリングでリアも一体に巻き込むような動きを見せ、グイグイ曲がる印象を受けた。

 安定のセダンと、曲げのハッチバック。この2台の差はかなり大きく、同じプラットフォームを使ったクルマとは思えないほど味付けが異なる。

 スペックもセダンの173psに対してハッチバックは182psと9psほど差がある。ハッチバックはパワーアップもさることながら、センター出しのマフラーなど、かなり若者ウケを気にしている印象を受ける。

 プラットフォームは軽量化にも貢献している。先代比でセダンは22kg、ハッチバックは16kgも軽量化。しかし剛性はセダンで25%、ハッチバックで52%も向上しており、より軽くそしてよりガッシリした骨格を得たのだ。

 セダンもハッチバックもこれまでの「標準的な存在」を目指したシビックではないのはたしか。

 エンジンフィールにすごく華があるわけではないが、シビックのノーマルモデルはこれくらいでもいいのでは? とも思わせるだけの落ち着きがある。

 そうはいってもホンダ社内でも北米のホットグレード「Si」(1.5Lの205ps)を日本に入れるべきという声もあったそうだが、それは今後のニーズ次第だそう。

 しかしハッチバックに6MTの設定があるのはホンダとしては思い切った決断のはず。今回はCVTのみの試乗だったが、6MTで操る1.5Lターボの乗り味も楽しみだ。

 デザイン面はかなりアグレッシブだ。セダンもハッチバックもどちらもクーペ風のスタイリングで、グリルは前傾姿勢のデザインになっている。

 デザイン担当者が「直球勝負した」というほど個性も強く、タイプRまで見据えた「ゼロからの設計」がデザイン面でも随所に活きている。「ロー&ワイド」のシビックはいまの若者の目にはどう映るだろうか?

セダンは極端なロール姿勢は取らずじわーっと曲がっていく性格だ。安定性も高い

ハッチバックはセダンと対照的でグイグイと巻き込んでいく。元気に走りたいオーナーにはおすすめだ

インテリアは水平基調のシンプルな印象。先代で速度計が見にくいと不評だった2段メーターは廃止された。シフト周りから伸びるセンターコンソールが特徴的だ

気になるタイプRの新事実とは!?

 タイプRの試乗は「お預け」となったが、いろいろと新事実が発覚してきた。

 まず出力に関して。先代のFK2型タイプRは310psを発揮していたが、新型では確実に馬力は上がることが発表された。ベストカーでは20ps前後の出力向上と見ている。

 最終型のNSXタイプRよりも速いニュルブルクリンクのラップタイムを刻んだ新型シビックタイプRだが、実は300psを超える馬力はシュミレーションでは不要だったそう。これは本田技術研究所の四輪R&Dセンター長の三部敏宏氏が明言した。

 「実は先代の開発の頃から280psくらいをタイプRの目標値にしてたんです。それが効率よく走れるという解析だったんです。

 それでも開発陣が300ps以上を出して、妥協なくタイムを狙いたいと直談判してきて。ニュルブルクリンクの最速タイムを出すこと、それを大きな目標にしてきました。

 新型になった以上は旧型のスペックを上回る必要があるとのことで、これまた開発陣の直談判を受けました。

 でも先代タイプRよりも7秒も速い記録は、それはパワーアップしたエンジンユニットよりも新型プラットフォームの効果が大きいです。

 古いプラットフォームにパッチをあてて補修していくのでは限界がありましたから、この新プラットフォームをタイプRの使用まで前提にして設計できたことは大きな収穫です」。

 またタイムアタック当日の様子も知ることができた。ホンダが公開したタイムアタックの動画ではドライバーの安全確保の理由からロールケージを装着している。

 しかしこれは剛性には寄与しないように設置されており、ロールケージ装着による重量増も調整して市販車スペックと完全に同じくしているという。

 日産GT-Rがポルシェなどとニュルブルクリンク最速タイムに関して一悶着あったとされるが、現在シビックタイプRはルノー、そしてVWと同カテゴリーでFF市販車最速を競っている。それだけにかなり神経を尖らせているようだった。

 タイプRの本気、そしてシビック日本導入へのホンダの意気込みを感じた試乗会だった。

 7月下旬には正式発表となるシビック。ぜひホンダ党、そして従来からのシビックファンの皆さんに「乗らず嫌い」をせず、どんどんと試乗してほしい!!

タイプRのボンネットのエアスクープは開発陣からの強い要望だという。先代のようにベースモデルのカスタムデザインではなく、ゼロスタートのプロジェクトだけに新規にデザインを起こせたことも特筆事項だ。カラーはチャンピオンシップホワイトを含め4〜5色程度がラインアップされそうだ

タイプRのみ3本だしの異径マフラー。ハッチバックの標準モデルと同じく、エンジンからほぼ一直線の排気の取り回しも、新プラットフォームの功績である

ニュルブルクリンクFF市販車最速タイム更新の様子はこちら!!

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