トヨタ ハイラックス級のピックアップトラックで、海外専売のマツダ「BT-50」の3代目モデルが、6月17日発表された。
発表された新型BT-50は、「鼓動デザイン」に一新された最近のマツダ車の雰囲気が色濃いが、実はこの新型からいすゞのピックアップトラック「D-MAX」のOEM車となっている。
本稿では、2020年後半にオーストラリアから販売が始まる新型モデルと、BT-50が歩んだ軌跡を紹介したい。
文:永田恵一
写真:MAZDA、ISUZU
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BT-50は日本でも売っていたプロシード後継車
マツダのラインナップには、かつて「プロシード」(1965年登場)というピックアップトラックがあり、初代モデルの米国仕様にはなんとロータリーエンジン搭載車も設定されていた。
プロシードは1977年に2代目モデルにフルモデルチェンジされるのだが、日本向けは1980年に一度絶版に。
その後プロシードは3代目モデルだった1990年に復活し、1991年にはハイラックスに対するハイラックスサーフのようにボディ後方にキャビンを設け7人乗り3列シートとしたプロシードマービーも加わった。
プロシードは輸出向けこそ5代目モデルまで続き2009年まで販売されたのだが、日本では3代目モデルをもって1999年に歴史を閉じた。
BT-50はプロシードの後継車として2006年に初代モデルが登場。これは北米向けのプロシード(1994年登場)が、フォードのピックアップトラックである「レンジャー」とともに米国で生産される兄弟車となったのに準じたモデルだった。
初代BT-50は、当時マツダとフォードがタイ国に合弁で持っていたAAT(オートアライアンスタイランド)で生産されるピックアップトラックで、2.5Lと3Lのディーゼルターボエンジンを搭載。
生産国かつピックアップトラックが乗用車代わりに使われることが多いタイ国で販売されたのはもちろん、ヨーロッパやオセアニア圏にも輸出された。
2011年にはフォード レンジャーの兄弟車という成り立ちは変わらないまま2代目モデルにフルモデルチェンジ。
エンジンは2.2L・4気筒ディーゼルターボに加え、3.2L・5気筒ディーゼルターボというマニアックなものもラインナップされた。
2代目BT-50は、フォードレンジャーの兄弟車ながら、内外装は当時のマツダ車らしいものだった点は今になると印象的だ。
新型BT-50はいすゞベースでも大きく差別化!
そもそもマツダは以前最大積載量2トン級の「タイタン」と1トン級の「タイタンダッシュ」という小型トラックをラインナップしていた。
しかし、2000年代から自社開発が難しくなり、タイタンは2004年にいすゞ エルフのOEM車に移行し、それ以来マツダといすゞの業務提携は続いている。
ピックアップトラックに関しても両社は2016年にいすゞからマツダへのOEM供給を発表しており、新型BT-50はそれが具現化したものである。
このOEM供給はマツダは「フォードとの関係解消によりピックアップトラックがなくなってしまう」、いすゞも「GMとのピックアップトラックに関する関係解消により販路が減ってしまった」という双方の事情もあり、OEM供給によりお互いがウィンウィンということで結ばれたものなのだろう。
オーストラリアで販売される新型BT-50は、3Lディーゼルターボエンジンを搭載する点など、機能面は当然ながらD-MAXに準じる。
しかし、エクステリアを見るとフロントマスクは多くの部品が変更され、まさしくマツダの鼓動デザインとなっており、インテリアもハンドル中央のホーンパッドやダッシュボード中央のエアコン吹き出し口など意外に違いは多く、OEMとしては想像以上にマツダ色が強いことが特徴といえる。
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