■ファーストインプレッションで何を感じた?
残念ながら、試乗会当日、会場周辺は、局地的豪雨に見舞われた。クルマを走らせれば路面に溜まった水が、スプラッシュマウンテンのように吹き上がるという悪条件だったが、だからこその発見もあった。
ハイブリッドは、加速性能が、なめらかかつパワフルだ。静かにスルスルと動き始める感覚から始まり、アクセルペダルを踏みこむと、直3のサウンドが始まり、必要十分にパワフルな、加速をする。
しかしながら、筆者が個人的に、好ましく感じたのは、ガソリンエンジンの方だった。ダイレクトシフトCVTにより、エンジンサウンドが徐々に高まる「加速の伸び」が演出されており、ラバーバンドフィールがない。
燃費さえ気にしなければ、このガソリンエンジンを好む方のほうが多いのではないか、と感じた。
そして、今回のヤリスクロスの特筆すべき長所は、ハイブリッド/ガソリン共通で感じた「操舵フィーリングの良さ」だ。
走り始めてすぐ、ステアリングの剛性感が高いことに気づかされる。「ハンドルが重い」ということではなく、タイヤとステアリングがまるで直結したかのような「手ごたえの良さ」と、操舵の正確性を感じるのだ。
215/50R18の大径タイヤ(ガソリン車には16インチタイヤ)を装着し、ヤリスに対してリフトアップしたことで、ハンドリングはやや大味になっているのかと想像していたが、キビキビとした車両の応答性ではない「芯のある操舵力」だった。
■価格は未定だがロープライスに期待したい
筆者は、このヤリスクロスの販売価格は、ヤリスに対しては約50万円高い、ガソリンは210万円~、ハイブリッドは250万円~になるのではないか、とみている。
昨年、RAV4とライズが、今年にはいってからは、ハリアーを登場させ、さらにタイでは、カローラクロスも登場させるなど、トヨタはいま、急激にSUVのラインアップを拡充させている。
できれば、それに対抗する国産メーカーが出てきてほしいところだが、残念ながら現時点では、ホンダと日産を足しても、トヨタに太刀打ちすることはできない。
果たして次はどんなSUVが登場するのか、トヨタのSUV動向からは、しばらく目が離せない。
【ヤリスクロスプロトタイプスペック】
・全長×全幅×全高=4180×1765×1560mm(アンテナのぞく)
・エンジン=1.5L 直3エンジン(ガソリン)/1.5L直3エンジン+THS II(ハイブリッド)
・駆動方式=ガソリン/ハイブリッド共にFFと4WDを設定
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