東京モーターショー2019の直前に新型トヨタヤリス、東京モーターショー2019で新型ホンダフィットがそれぞれ世界初公開された。
奇しくも両モデルとも2月から発売を開始。新型ヤリスが2020年2月10日、新型フィットが2月14日(発表は13日)となっていて、コンパクトカーのトップ2への注目度は日に日に高まっている。
本企画では、新型ヤリス、新型フィットとも旧型から大きくイメージチェンジしているため、清水草一氏が発売前に両モデルをデザイン面で対決・比較していく。
文:清水草一/写真:TOYOTA、HONDA、平野学
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新型ヤリスは攻めのデザイン
オリンピックイヤーの2020年。自動車業界も燃えている。台風の目は、そろって2月に発表される2台のニューカー、新型ヤリスと新型フィットだ。この2台、カタチはどうなのか? 今回はデザイン面で斬ってみよう。
まず新型ヤリスだが、近年「もっといいクルマを!」を合言葉に攻めの姿勢を明確にしているトヨタらしく、大胆に攻めている。
なんといっても驚かされるのが、キャビン上部がスポーティにギュッと絞られていることだ。
乗員にすれば、肩より上の部分が前後左右からのしかかってくるようなもので、かなり窮屈に感じる。
そのぶん速そうに見えるし、大地を踏ん張ってしっかり走りそうにも見えるわけだが、本来実用的なコンパクトカーであるヤリスをここまでスポーティに変身させるとはビックリ!
トヨタの攻めの姿勢はデザイン面でも徹底してきている。
造形も攻めている。前後左右どこから見ても、よく言えばエモーショナル、悪く言うと煩雑で、パネル面もラインもうねったり盛り上がったりすぼんだり、かなり忙しい。
正直なところちょっと頑張りすぎだし、大きな口や釣り上がった目、強調されたオーバーフェンダーや超立体的なリアコンビネーションランプなど、デザイン手法自体が旬を過ぎている面もある。
が、全世界でデザインの潮流が同じというわけではないし、トヨタとしては、もともとのイメージが大人しかっただけに、攻めの姿勢を見せたいという気持ちはよくわかる。
ラーメンで言えばかなりのこってり系で、背油たっぷりのデザインだが、日本の一般ユーザーにすれば、「へぇ、ヴィッツがこんなになったのか」と新鮮に感じるだろう。
現在のデザイントレンドに沿った新型フィット
いっぽうの新型フィットは、逆に3代目のデザインが煩雑だったことから、シンプル路線に回帰している。パネル面をシンプルに、無駄なラインをなくすのが現在のデザイントレンド。フィットはその流れにしっかり沿っている。
シルエット自体はこれまでのフィットの伝統に則った、ごく常識的な実用的ハッチバックのソレであり、フィットの得意技であるセンタータンクレイアウトによって、見た目以上に室内空間が広いという伝統は完璧に継承されている。
フロントフェイスは柴犬をイメージしたと言うが、確かにやんちゃでかわいらしく、親しみが持てる。
フロントフードとフェンダーの隙間をコントロールすることで、うれしそうに口を少し開いた犬のような表情をうまく作っているのだ。
ヘッドライトの形状も単なる吊り目ではなく、内側の目尻を斜めに切り上げることで、適度に精悍で適度に柔和なイメージを出している。
サイドやリアはやや平凡だが素直。3代目フィットは、サイドの折れ曲がったエッジラインが煩雑だったが、そういう無駄なラインはなく、スポーンとしている。
ちょっと平凡ではあるが、リアピラーの形状によってサイドウィンドウとリアランプをシャープに交錯させ、微妙なオシャレ感も醸し出している。
5つのバリエーションのうち「NESS」と「CROSSTAR」は、ルーフからピラーにかけてのボディカラーを2トーンにできるが、そっちを選ぶとリアピラー形状がより視覚に訴えて、はっきりオシャレ感が増す効果がある。
新型フィットのデザインは、ラーメンで言えばさっぱり塩味系、コクがあって飽きがこないって感じでしょうか。
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