■強化されたエンジンは620馬力を発揮
ベースとなる「570S GT4」と異なり、レーシングレギュレーションに縛られないことから、570S GT4同様の3.8LのV7ツインターボエンジンは、最高出力620ps/7000rpm、最大トルク620Nm/3500rpmまで向上。
これにDCTタイプのトランスミッション「7速SSG」を組み合わせる。ミッドに収められたエンジンのパワーは、すべて後輪のみに伝達される。
その走りを支える足回りは、レーシングカー譲りのコイルオーバー式サスペンションを採用し、大径のカーボンセラミックブレーキシステムとセンターロッキング式のアルミホイールを備える。
フロント19インチ、リヤ20インチの前後異形サイズとなるタイヤは、いずれもピレリ製で標準のセミスリックタイヤに加え、オプションのフルスリックタイヤも用意。
注目すべきは、タイヤ変更時のサスペンションのセッティング変更が不要なこと。これはタイヤチェンジのみで、即サーキットでの全開走行を楽しめることを意味する。
そのポテンシャルは、0-100km/h加速が2.9秒。0-200km/h加速でも8.1秒しか必要しない。トップスピードは、322km/hと超1級のものだ。
■インテリアもレーシーでストイック!
公道走行可能なロードカー仕立てとはいえ、生まれがレーシングカーであるため、標準状態のインテリアはかなりストイック。
2座のキャビンに備わるのは、超軽量のカーボンファイバー製レーシングシートに6点式シートベルトが備わる。そのため、完全に体をシートに固定した状態でもドアを閉めることが出来るドアストラップも付属する。
レーシングカー同等の性能と軽量化を実現するために、フロアカーペットやグローブボックスも排除。さらにエアコンやオーディオシステム、ナビゲーションも取り去る徹底ぶりを見せる。これにより乾燥重量は、1282kgに過ぎない。
ただロードカーでもあるため、除外されたアイテムは、オーナーの要望に合わせて無償オプションで選択することもできるという。その簡素なインテリアにも、7インチのタッチスクリーンは全車に標準化される。
これは、ラップタイムなどのデータを表示するマクラーレン・トラック・テレメンタリー・システムに必要なためだ。
■顧客の要望で生まれた限定車
350台のみが送り出される620Rは、モータースポーツを行う顧客向けのレーシングカー「570S GT4」を気に入り、公道でも走らせたいというユーザーに声から生まれたものだ。
参戦レースでも結果を残していることも人気の秘密のようだ。マクラーレンオートモティブでは、「きわめてレーシングカーに近い存在の620Rは、レアなコレクターズアイテムとなる」と断言しており、マクラーレンカスタマーのみならず、多くの自動車コレクターにも、注目される一台であることを伺わせる。
世界で350台のみとかなりレアなモデルだが、日本のマクラーレンオーナーは、サーキット走行を楽しむ人も多いため、620Rの購入希望者は多かったのではないかと推測する。
発表会では、最低1台は導入されることが明かされていることもあり、運が良ければ、日本での街中やサーキットでその雄姿を目撃できるかもしれない。
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