グレイスとジェイドが7月に販売終了、シビックセダンもこの8月で販売終了となる。販売が振るわなかったとはいえ、個性的な3台だけに惜しい。
3台の足跡と、同じように散っていった気骨のホンダ車たちを振り返る。
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※本稿は2020年7月のものです
文:国沢光宏、清水草一、永田恵一、ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年8月10日号
■3台の足跡を振り返る
ジェイドは2013年9月にまず中国で販売を開始。日本では2015年2月から販売が開始された。当初は3列シートモデルのみの販売。ハイブリッドモデルのほか、1.5Lターボモデルもあり、ライバルとなるプリウスαと迷う人も多かったことだろう。
グレイスは先代フィット3ベースの5ナンバーセダン。いまやセダンも大型化していくなかで、貴重な存在だった。ハイブリッドは燃費もよく、フィットの「外しグルマ」として存在感があったと思う。
悲惨なのはシビックセダンである。今年1月にマイナーチェンジされたばかりなのに廃止。ホンダはシビックセダンに恨みでもあるのかという扱いだ。
実質的にシビックハイブリッド的立ち位置にいるインサイトもシビックセダンにトドメを刺した原因のひとつだ。シビックのほうがインサイトより全幅が20mm狭く(1800mm)、日本人としてはちょうどいいサイズのCセグセダンのはずだった。シビックセダンにe:HEVが搭載されれば……と、悔やんでも悔やみきれない。
■国沢光宏があらためて評価「3台とも売れないのが明々白々だった」
3台とも「売れないことが明々白々なのになぜ日本導入したんだろう?」と強く強く思う。
新型車を出す場合、一般的には、(1)これは売れそう、(2)売れるかもしれない、(3)どうなるか注視、(4)微妙ですね、といったイメージ。
(5)100%売れないでしょ、と思えるケースは、5千年の歴史を持つ日本の自動車産業を見てもありませんワな。この3車種、揃って(5)に属す。
当時、ホンダ以外のメーカーにこの3台の売れゆき予想を聞いた。興味深いことに皆さん口を揃えて「売れないと思います。ウチなら絶対出さない」。
ホンダの社員ですら「なぜ多額のコストを投じ日本で生産することを決めたのかまったく理解できません」。
考えてほしい。この3台、海外生産じゃなくあえて日本に生産ライン作ったのだ。売れなければムダ遣いになる。
最初の「酷いね!」がジェイド。本来、中国におけるフィットの上級モデルとして企画されたモデルで、3列シートモデルは想定しておらず。加えて価格帯もフィットの10~15%高といったイメージ。
なのに日本じゃストリームより圧倒的に高いプライスを付け、それでいて3列目シート使いモノにならず、2列目シートだって超安っぽかった。日本で160万円なら市場あったと考えます。
シビックについちゃジェイドの時に「売れない」と言ったら逆切れされたため「日本でアクセラより売れたら丸刈りにしてやる!」と公言した。
すべての点でインプレッサと同等レベルのシビックを、インプレッサより70万円も高い値付けしたら売れるワケない。グレイスだってホンダは日本に4ドアセダン買う顧客層を持ってないです。この大失敗、誰が責任取るんでしょ?
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