■新型への刷新を可能としたレヴォーグの価値
以上のようにレヴォーグは、ワゴンのボディスタイルを採用したことで、スバルが重視する安心と快適を最適なサイズで実現できた。そこに共感を得たユーザーがレヴォーグを購入して、さらに評価が高まる好ましい循環が成り立っている。
また、逆説的な表現になるが、国産ワゴンの車種数が大幅に減ったことも、レヴォーグの購買層を増やしてフルモデルチェンジを促すことに繋がった。
前述の通りワゴンは、走行安定性と乗り心地が優れ、運転感覚も楽しい。外観はスマートで、アクティブな雰囲気もある。ミニバンに押されてワゴンの需要が減ったことは確かだが、ニーズがなくなったわけではない。
それなのにワゴンの車種数は、2000年以降の約20年間に、需要の減少以上に削減されてしまった。その結果、国産ワゴンに対するニーズは、設計が新しく改良も頻繁に行うレヴォーグとカローラツーリングに集中している。少数精鋭のメリットが生じた。
日本自動車販売協会連合会が集計するカローラの登録台数は、継続生産型のカローラアクシオ&フィールダーやカローラスポーツを含んだ数字だが、このシリーズ全体の約60%をカローラツーリングが占める。
その登録台数は、コロナ禍の影響を受けながら、2020年に月平均で約4500台であった。カローラツーリングは、プリウスやシエンタと同等の台数を登録している。
レヴォーグは2020年5月に従来型の受注を終えたから、現在の登録台数は大幅に少ないが、2019年にはモデル末期ながらも月平均で1000台以上を登録していた。フルモデルチェンジを受けると、再び増加するだろう。
スバルのワゴンは、1981年に発売されたレオーネツーリングワゴンの時代から、メーカーや販売店とユーザーが一緒になって大切に育ててきた。
今後トヨタや日産が新しいワゴンを発売しても、好調に売るのは難しいと思うが、スバルではワゴンが同社のブランドイメージと一体になっている。
もはやスバルのラインナップから、ワゴンを省くことはできない。スバルにとってワゴンは、特別なカテゴリーだから、今後も進化を続けていく。
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