アウディのハイパーコンパクト 新型「RS3」はCセグ最速290km/hの実力!!

■最強の電子制御4WDモンスター

 スポーツバックそしてセダンともにカムフラージュをまとった開発コード「8Y」と呼ばれる現行A3をベースにした2021年モデルのボディサイドには1-2-4-5-3の文字が並ぶが、これは搭載されている直列5気筒ターボエンジンのファイヤリングオーダー(点火順序)を表している。

テストコースを走るカムフラージュされたRS3プロトタイプのスポーツバックとセダン
テストコースを走るカムフラージュされたRS3プロトタイプのスポーツバックとセダン

 後半部分のスタジオ取材で改めて報告するが、ニューRS3(ハッチバックそして遅れて登場するノッチバック・セダン)のエクステリアおよびインテリア・デザインは基本的にはキープコンセプトである。

 搭載される2.5L直列5気筒TFSIエンジン(開発コード:EA855evo)は前述したように最高出力400馬力と現行モデルと同一、しかし最大トルクは500Nmと20Nm増加している。また組み合わされるトランスミッションは7速SトロニックDCTである。

アウディの高性能スポーツモデルに搭載される伝統の直列5気筒ターボエンジン。新型RS3のスペックは、最高出力400ps/5600-7000rpm、最大トルク500Nm/2250-5600rpmと高められている
アウディの高性能スポーツモデルに搭載される伝統の直列5気筒ターボエンジン。新型RS3のスペックは、最高出力400ps/5600-7000rpm、最大トルク500Nm/2250-5600rpmと高められている

 スタンダードA3よりも25mmローダウンされ、さらにスポーツモデルのS3よりも重心高が10mm下がったシャーシは、ベースモデルと共通のフロントにストラット、リアはマルチリンクの組み合わせ。

 タイヤは、19インチのスポーツタイヤが標準で、オプションではセミスリックのピレリ Pゼロ トレフェオRも装着可能である。

 テスト車にはオプションのRSロゴの入った真っ赤なブレーキキャリパーが付くセラミックブレーキが装備されていた。インテリアは未公開で残念ながらカバーが掛けられているが、アルミとカーボンのアプリケーションでスポーティに仕上げられている。

 スポーツ・シートはやや幅に余裕があるので快適で、それでもコーナーでは身体をしっかりとサポートする。12時位置にマーキングがあるスポーツステアリングホイールは下縁がフラットになっているタイプだ。

 今回初公開された新技術のトルクスプリッターは従来のハルダックス・クラッチを備えた4WDクアトロシステムをさらに進化させたもので、2基の多板クラッチで回転力(トルク)を無段階に左右の車輪に振り分けることができ、これによってアンダーステアは低減される。

 また各センサーから送られたさまざまな運転状況および路面情報を感知し、そこから計算された駆動力の振り分けによって、ブレーキを利用することなく安定した走行追従性を発揮する。

 従来のトルクベクトリングシステムに比べると構造がシンプルで作動速度が速く、確実である。さらにこのシステムは「コンフォート」「オート」「ダイナミック」「RSパフォーマンス」、そして「RSトルク」の5種類のプロファイルが選択可能で最終モードではドリフトが可能である。

 ドライブを担当して下さった開発エンジニアのフランク・スティップラー氏は元レーシングドライバーでニュルブルクリンク24時間での優勝経験もあるつわものだ。

 スティップラー氏は、カウンターステアを当てながら(!)ダッシュボードに取り付けられたテスト用のモニターを指して「特にウエット、低ミュー路面でのドライブでは確かにアンダーは少なく、またブレーキが介入しないので高い速度を保ちながらダイナミックでコントローラブルなハンドリングを楽しめます」と説明。

新技術のトルクスプリッターを採用し、モード選択によってはドリフト走行も可能
新技術のトルクスプリッターを採用し、モード選択によってはドリフト走行も可能

 さらに「新たに採用された“レーシング・モード”ではコーナーでほぼニュートラルな姿勢を保つので、サーキットで間違いなく最高のパフォーマンスを発揮することができますよ!」と語りながら見事なドリフトコントロールを見せてくれた。

次ページは : ■ベールを脱いだ「RS3」のエクステリアとインテリア

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