■あらゆるお客をかっさらおうと
新型ヴォクシーに比べると、ノアの顔はぐっと受け入れやすいが、そのぶんインパクトは弱い。
ノアのグリルは、極端に太い桟が横に2本走り、全体をアゴのような輪郭線が囲う形状で、ヘッドライト形状もごくごく普通の直線的な吊り目。先代ノアの発展形で、エグい顔に慣れた目で見れば非常にオーソドックス。
ノアのエアロは、ノアの顔の中央部全体をメッキで覆ってみました! というもので、メッキギラギラだったエスクァイアとノアの中間的な「メッキ顔」になっている。
顔のオラオラ度インパクトを数値化すると、こんな感じになる。
ヴォクシー/100点
ノア(エアロ仕様)/30点
ノア(標準仕様)/10点
つまりトヨタは、顔のバリエーションを最大限広く取って、あらゆる客をかっさらおうとしているわけだ。
■冷蔵庫が怪獣になった現代だからこそ
こうなると、つい比較したくなるのが、新型ステップワゴンだ。
ステップワゴンのデザインは、原点に回帰して超シンプルになった。よりシンプルな「エアー」は、装飾を徹底的にそぎ落とし、極限まで冷蔵庫に近づけたようなサワヤカさを感じる。
かつて我々は、クルマの冷蔵庫化を嘆いたが、最近は冷蔵庫がみんな猛獣や怪獣になってしまったので、シンプルな冷蔵庫に戻った新型ステップワゴンを見ると、その落ち着いた形状に心底ホッとする。
ステップワゴンの場合、「ここまでやるか!」というくらいシンプル化しているので、逆の意味でインパクトもある。
一方のノアのノーマルモデルは、インパクトで言うとほとんどゼロ。ノアエアロでややオラオラ。そしてヴォクシーは現代アート級の凶悪さという序列になる。
とまぁ、顔の比較をしたわけですが、新型ヴォクシー/ノアの車体全体のフォルムは、先代よりもややシンプル化されている。
先代はサイドウィンドウ中央部を下げ、2列目乗員の視界が広くなるよう工夫したが、それによって車体の前後が重く見え、デザインバランスはいまひとつだった。一方新型は、そういった細工を廃し、ウエストラインはほぼ一直線。最後に少し跳ね上がっているだけだ。顔を見なければシンプルかつ平凡で平和だ。
一方のステップワゴンは、サイドもリヤも極限に近いシンプル化を図っていて、どこから見ても無印良品的。デザインの完成度は、ステップワゴンが圧倒的に勝っているが、ヴォクシーの現代アート顔も捨てがたい。販売競争でどんな結果が出るか楽しみだ。
【画像ギャラリー】「トヨタは恐れを知らない挑戦者」と称された新型ヴォクシー、新型ノア、そして新型ステップワゴンの画像(17枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方