2022年4月、トヨタ山下テストコースにて、レクサス初のBEV専用車「RZ」プロトタイプの試乗会が行われた。RZはトヨタのbZ4Xと主要部品を共用し、味付けはレクサスが行う。レクサスによって作られたEV専用モデル、その実力はいかほどか? 自動車評論家 山本シンヤが解説する。
■レクサスRZ ここがポイント
・BEVを軸とするブランドへの変革。 その起点となるモデル
・新四輪駆動システム「DIRECT4」採用
・レクサスで初のBEV専用プラットフォーム「e-TNGA」採用
・新表現「スピンドルボディ」へと進化
・注目の先進安全技術とおもてなし機能
※本稿は2022年4月のものです
文/山本シンヤ 写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2022年5月26日号
■レクサス初のBEV専用モデル
レクサス初のBEV専用車である「RZ」。今回、世界初公開に合わせてニュルを模したトヨタ下山テストコースでプロトタイプに試乗してきた。
トヨタbZ4X/スバル・ソルテラとe-TNGA/eアクスルなどの主要部品は共用するが、それ以外の構成部品、制御系、味付けはレクサス独自……つまり「別物」だ。
エクステリアはパッと見、NXのクーペ版だがよりスマートな印象。インテリアもNXとの共通性が高いが、メーター周りやダイヤルシフトノブなどにより先進性をプラスする。
走りはどうか? パワートレーンは前後独立モーターの「ツインモーターAWD」だが、フロント150kW/リア80kWとbZ4X/ソルテラより高出力化。ちなみにバッテリーは71.4kWhと不変。
プラットフォームはe-TNGAをベースにレクサス独自の構造や補強、溶接技術をプラス。加えてサスペンションには周波数感応アブソーバー(FRD II)、タイヤは前後異形サイズを採用する。
このように基本素性を高めたうえで、ツインモーターAWDの特性を活かした4輪駆動力システム「DIRECT4」を採用。各種センサー情報を用いて駆動力配分をシームレスかつ綿密に制御を行なう。
■豊田社長も驚いた「意のままの操縦性」
実際に走らせるとどうだったのか? パワートレーンは応答性のよさや力強さはシッカリと感じられるが、凄い加速感ではなく滑らかに加速して、いつのまに速度が出ているような感じ。よく言えばレクサスの世界観に合った加速、悪く言えば現実主義で「アメージング」は感じられず……。
フットワークはどうか? ステア系は超滑らかだが直結感が高く正確無比な操作が可能。ハンドリングはまさに「オンザレール感覚」。
姿勢変化は必要最小限で、コーナーの曲率に合わせて4つのタイヤのグリップ力が最適になるようにコントロールして旋回する。
それも機械的に強制的に曲げるのではなく、より自然に、よりシームレスな制御のため、自分の運転が上手くなったかと錯覚したくらいである。
この走りから、昨年12月に行なわれたバッテリーEV戦略に関する説明会での映像……。豊田章男社長がRZのテストカーに乗って「ワォ!」と驚いた理由は、この「意のままの操縦性」だったことがわかった。
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