インテリアはアリアやノートのように、一部変更
インテリアの変更点は、ノートシリーズと同じく、フローティングタイプのセンターコンソールを採用し、電制シフターとなったことだ。従来型はフロアからシフトノブが生えた標準的なタイプであったので、新生日産を象徴するこの更新は非常に好ましい。また、フローティングされたセンターコンソールの下側にはポケットが用意されており、小さなバッグなどを格納することができる。
また、ブラウンの内装と主要メーカーオプションが標準装備された「スタイルエディション」という最上位グレードを、2WDと4WD、どちらにも追加している。「ツートンエディション」に用意されている明るいオレンジタンの内装とは趣が異なり、シックなブラウンカラーは、引き締まった大人のインテリア、といった印象だ。
また、前方衝突予測警報の「インテリジェントFCW」も搭載。高速道路で2台前の車両が突然減速したとき、あるいは、急に先行車が車線変更した際に、前方に遅い車両が走っていたとき、ドライバーに注意を促す機能だ。キックスを除くほとんどの日産車には搭載されていたので、ようやくキャッチアップされた、といったところだ。
もうちょっと早く欲しかった!!
車両本体価格(税込)は、2WDが279万円~301万円、4WDは306万円~328万円。2WDと4WDの差は約25万円だ。従来型キックスは、275万円からだったので、2WDの場合は、改良型で約4万円、さらっと価格アップしてきたことになる。
WLTCモード燃費は、FFが23.0km/L、4WDが19.2km/L。ライバルのヴェゼルe:HEV(2WD:25.0km/L、4WD:22.0km/L)、カローラクロスハイブリッド(2WD:26.2km/L、4WD:24.2km/L)と比べるとやや落ちる。実燃費では、この差が大きく現れることはないだろうが、シリーズハイブリッドと、パラレルハイブリッドの埋めがたい差は、どうしてもあるようだ。
とはいえ、キックスは全グレードでプロパイロットが標準搭載、17インチタイヤホイール、6スピーカー、本革巻きステアリングホイールも標準装備と、(ベーシックなグレードでも)つけたい装備はおおむね含まれている。また、コンパクトSUVの中で、最もEVに近いフィーリングを持っているのは、このキックスだ。
ただ、今回の4WD追加で、コンパクトSUV界におけるキックスの立ち位置が変わるほどの効果は得られない、と筆者は考える。これまで「SUVなのに4WDがない」と、さんざん指摘をされてきたキックスだが、デビューから2年も経過した、すでに定着してしまったモデルだけに、今回の「4WDの追加とインテリアの変更」だけでは、巻き返しのための起爆剤としてはインパクトが足りていない。
本気で巻き返しを図るなら、走行時の安定感と静粛性が段違いで高い新世代のCMF-Bプラットフォームへの刷新も不可欠だ(※キックスは古いVプラットフォームの改良版)。
新世代のインテリアを手に入れ、追加された4WDの実力も十分なキックスではあるが、残念ながら今回のマイチェンでの巻き返しは期待できない。次期型でどう巻き返すのか、に期待をしていたほうがいいだろう。
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