2022年7月15日、トヨタは新型クラウンを世界初公開した。新型クラウンは4種類のボディバリエーションを持っており、その第一弾であり中心的存在となるのが「クロスオーバー」。これまで長く後輪駆動(FR)4ドアセダンの代表的存在として位置づけられていたクラウンが、大胆な路線変更に踏み切った。ここに至るまでに、どのような経過があったのか。なぜここまで大胆な変更に踏み切れたのか。トヨタ公式Youtubeチャンネルで、デザイナーたちがその回答のひとつを語っていたので、紹介します。
文/ベストカーWeb編集部、写真/TOYOTA、奥隅圭之、三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY
■まずトップが危機感を持ち、管理職が共有する
「本当にこれでクラウンが進化できるのか?」
新型クラウンの実質的な開発トップを務める中嶋裕樹氏(Mid-size Vehicle Company President)が、従来型クラウン(15代目)のマイナーチェンジに関する企画を持っていった際に(現時点から2年と数カ月前に)、豊田章男社長から言われたというエピソードを語った。
「マイナーチェンジは飛ばしてもいいから、本気で(次のクラウンはどのように進化すべきか)考えてみないか」
こうして従来型クラウンのマイチェン企画はお蔵入りとなり、新型クラウンの開発がスタートする。つまり、豊田社長のこの、ある種の危機感、現状からの飛躍を目指すエピソードから、新型クラウンの開発は始まっている。こうしたトップの危機感は、新型クラウンを開発するうえでスタッフの多くに共有され、「4種類のボディタイプを持つ」、「FFベースのプラットフォーム導入」、「第一弾はクロスオーバー」という大胆な路線変更を可能にした。
開発の初期段階となる外形デザイン製作にあたり、新型クラウンのチーフデザイナーである宮崎満則氏もまた、この「危機感」について語っている(以下、トヨタ公式Youtubeチャンネル「【CROWN】開発者インタビュー エクステリアデザイン篇」より引用)。
「このままだとクラウンが存続させられない。本当に、このままではなくなってしまうかもしれない。」
そのために宮崎氏がとった手法が「若手に任せる」であった。
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