■マルチボードで「モバイルオフィス化」も
最大の特徴は、後席エリアを有効活用した、自由自在にアレンジができるレイアウトだ。小型化された後席シートは、格納することができ、付属のフロアボードを敷くことで、広大でフラットで隙間がない、快適なフルフラットフロアが生まれる。
荷室の最大長さは1205mm、最大幅は1245mm、荷室高は1220mm(2名乗車時)、助手席のシートバックも前方へ倒せば、大人が足をまっすぐに延ばして眠れるだけのスペースができる。
付属のマルチボードが非常に役立つ。表面はハードプラスチックなので、汚れがついても、さっとふき取ればOKだ。設置は3段階の高さ調節ができ、パソコンの作業デスクとして、移動販売時のディスプレイテーブルとして、食事のテーブルとしてなどの活用が可能。走行中の揺れやガタつき音を抑制する固定ゴムも装備されている。
実際に、折りたたんだ後席シートを椅子代わりにして、パソコンを構えてみたが、窓も大きく車内は十分に明るいため、モバイルオフィスとして十分に活用できそうだ。また、マルチボードは垂直に設置することで、荷室を2つに分けるパーティションとしても活用できる。ペットとの旅行や、スーツケース積載など、マルチに使うことができる。
マルチボードは金属製フレームで補強されており、ボードを取り付ける車体側へも補強がなされているので、ボードの上にちょっと座ったり、重たい荷物を積んでも十分に耐えられる仕様となっている。そのため、既存のスペーシアにこのデッキボードのみをポン付けすることはできないそうだ。
■若手エンジニアが中心となって開発
他にも、オーバーヘッドシェルフやリアクオーターポケット、ユーティリティナット、助手席シートバックテーブルなど、収納エリアや便利アイテムが豊富にある。どうしても荷物が増えてしまう車中泊には、こうした収納ポケットはいくらあっても困らないだろう。
さらには、USB電源ソケット(Type-A&C)、運転席&助手席シートヒーター、ロールサンシェード(軽商用初)など、使い勝手の良さも十分だ。隅々まで、気が利いた設計が織り込まれている。
その点について、前出の伊藤二三男チーフエンジニア(BASEの他、エブリイやキャリィの責任者も兼任されている)にお話を伺うと、スペーシアBASEの企画は、若手エンジニアたちを中心に動いてもらったとのこと。
商用軽バンはフルモデルチェンジをする機会がめったになく、開発部隊にいる若手エンジニアたちが入り込む機会がなかなかなかったそう。また、「軽商用車はこうあるべき」という固定観念が強く、新しいアイディアを取り入れる場がなかったため、BASEの設計は思い切って若手を中心に考えてもらったという。
すると、ルーフ収納、クオーターガラスをつぶして内側を収納にするなど、このあたりのアイディアがポンポンと出てきた。「チーフエンジニアとしては、スズキの未来を背負っていく若手エンジニアたちの成果が織り込まれたことは、非常に嬉しいことでした」、と嬉しそうに話してくれた。
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