■性能を強化したGTIパワーユニット
力強い走りを司る専用パワーユニットは、2L直列4気筒DOHCターボエンジンだが、エンジン変更を受けてパワーアップ。最高出力が+7psの207ps/4600~6000rpmに。最大トルクは320Nmのままだが、発生回転域が1500~4500rpmとよりワイドに。従来型と比べ、圧縮比も高められている。
また、もうひとつの大きな変更が、トランスミッションだ。DCTタイプのDSGであることに変わりはないが、1速追加された7速ギアとなり、加速のよさはそのままに、高速域での燃費向上と静粛性を高めている。
機能面では、足回りは専用のスポーツサスペンションだが、従来型で標準だったアクティブダンパーを備える「“Sport Select”シャシー付スポーツパフォーマンスキット」がオプション化に。
新型では、18インチアルミホイールと215/40R18タイヤとの組み合わせで、12万1000円高となる。標準の17インチか、アクティブダンパー付きの18インチか、購入検討者は大いに悩むことになりそうだ。
■デジタル機能が強化されたコックピット
インテリアでは、デジタル機能を強化。従来型ではオプションだったデジタルメータークラスターが、アップデートされた「Digital Cockpit Pro」に進化し、標準化。セットオプションだった「スマートフォンワイヤレスチャージング」も備わる。
先進機能は、ポロシリーズのなかでも充実した内容を誇るGTIだが、標準車も安全機能が強化されたことで、より充実。同一車線内全車運転支援システム「Travel Assist」を初め、後側方接近車警告機能のレーンチェンジアシスト「Side Assist Plus」、ステアリング操作を自動化した駐車支援機能「Park Assist」などの上級機能もしっかりと押さえている。
シートデザインは、GTI伝統の赤いタータンチェック柄を継承。ステアリングデザインは、新タイプに変更されながらも、お約束の赤のステッチ入りに。ATシフトレバーも新デザインのものとなる。
この新シフトレバーでは、シフトパターン表示が、シフトサイドからシフトレバー上に変更されている。また、クルマ好きからは使いやすさに定評のあるハンド式サイドブレーキレバーは健在だ。
■ポロGTIでも価格は400万円越えに
最大の悩みは、400万円越えの価格だろう。装備や仕様が異なるとはいえ、導入当初の344万8000円と比較すると、66万5000円アップにもなる。ただ、標準車も大幅な価格上昇が見られ、消費税が10%に増税されたこともあり、致し方ないところもある。
そこで最新ポロのなかでのコスパに注目してみた。マイナーチェンジを受けた新型ポロの標準車のスポーティグレード「R-Line」との価格差は、81万4000円にもなるが、最新のR-Lineは、従来型の1.5L TSIエンジンではなく、ほかの標準車と同じ1.0L TSIとなった。
エンジンの優位性がない今ならば、いっそ背伸びしてGTIを選ぶほうが満足度は高い。ただ、そこまで予算を上げると、ゴルフGTIの存在も気になる。しかし、ゴルフGTIは、今や500万円に迫る486万2000円のプライスを掲げる。
同じGTIでも、ポロとゴルフの価格差は、74万9000円もある。そうなればエンジンスペックだけを見れば、ポロGTIのコスパがよく思えてくる。改良型ポロGTIの実力次第では「エントリーGTIこそ、ベスト」という意見も聞こえてきそうだ。
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