VWのベストセラーコンパクトカーといえばゴルフの弟分のポロ。2018年3月に登場した現行モデルは、1L、直3ターボと2L、直4ターボの2種類だったが、2019年1月19日には待望の1.5L、直4ターボエンジンを搭載した、ポロTSI Rラインがラインアップに加わった。
そのポロTSI Rラインを徹底試乗! はたして、この1.5L、直4ターボエンジンを積んだRラインは、どんなクルマに仕上がっているのか? ライバル車4台の徹底比較とともに、ポロRラインの実力はどうなのか、試乗レポートをお届けする!
文/鈴木直也
写真/平野 陽
初出/ベストカー2019年3月26日号
■1L、直3ターボよりも力強く2L、直4ターボのGTIよりチト安い
2019年1月29日にポロのラインアップに追加された「Rライン」は、EA211の進化バージョン、通称「1.5TSIエボ」と呼ばれ、気筒休止機能のアクティブシリンダーマネージメント「ACT」と効率的なコモンレール直噴技術を採用する1.5L、直4ターボエンジンを搭載する。
これまで、ポロの主力3モデルはすべて1L、3気筒ターボ(95ps/17.9kgm)で、その上がいきなり2LのGTI(200ps/32.6kgm)だったから、1.5L直4ターボで150ps/25.5kgmのRラインは、ギャップを埋めるちょうどお手頃な存在だ。
この1.5TSIエボエンジンは日本初採用となるエンジンで、トランスミッションは7速DSGを組み合わせている。
走りっぷりはスペックから想像されるとおり、まさにウェルバランスというのが第一印象。過剰なところのない、ほどよいスポーティさが好ましい。
全開時のパンチこそGTIに一歩譲るものの、ちょっと飛ばすくらいのペースではその差はわずか。太いトルクを利した加速感の頼もしさは1L、直3ターボモデルとは段違いで、このくらいトルクがあるとワインディングが俄然楽しくなる。
ハンドリングと乗り心地のバランスも、ポロシリーズ中のベストだと思う。215/45R17を履く足回りは適度に引き締まったナイスセッティングで、ハンドリングは素直そのもの。
試乗日は雨だったからコーナーを攻めるとしばしばESPが作動したけど、そういうグリップ限界付近の挙動がすごくわかりやすいことにあらためて感心する。
スポーティ優先ならポロGTIをチョイスすべきなんだろうけど、ファミリーカーという前提で見るとRラインのバランスのよさが光るのだ。

バンパー埋め込み型のツインテールエキゾーストフィニッシャーが特徴的なリアスタイル
■輸入車2台と国産2台のライバル車と徹底比較

全長4075×全幅1750×全高1450mm。TSI Rラインの価格は298万円。ちなみにTSIトレンドラインは211万9000円、TSIコンフォートラインは232万円。ポロGTIは348万円
さて、かくのごとく優等生なポロRラインだが、300万円前後の欧州Bセグメント&Cセグメントは輸入国産問わず激戦区。BセグだけでなくCセグのライバルとも比較してみた。
まずはデビューしたての新型ベンツAクラスだが、音声コマンドを大胆に取り入れたMBUXなど「新しさ」を積極的にアピールしているのが特徴。
■メルセデスベンツAクラス

●全長4420×全幅1800×全高1420mm●直4DOHC1331㏄+ターボ●136ps/20.4kgm●車両重量1360㎏●価格328万円
ポロよりも1つ上のCセグで、エントリーモデルA180の328万円という価格がアグレッシブだ(ただし、今どきレーダーセーフティパッケージはオプション)。
走ってみると、全体に従来モデルより軽やかに走るなぁという印象。Aクラスは今回のモデルチェンジでパワートレーン/プラットフォームとも一新。ルノーと共同開発の1.3Lターボ(136ps/20.4kgm)に7速DCTを組み合わせている。リアサスがトーションビームとなった新しいシャシーに搭載している。
ポロRラインと比べると、走りはむしろポロのほうが上質で「イイもの感」があるが、内装のキラキラ度や音声認識インフォテイメントの斬新さではAクラスの勝ち。ブランド好き、新し物好きへの訴求力が高い。
■BMW118i

●全長4340×全幅1765×全高1440mm●直3DOHC1498㏄+ターボ●136ps/22.4㎏m●車両重量1430㎏●価格320万円
一方、走りの楽しさでは、このCセグ唯一のFR、BMW118i(320万円~)も見逃せない。
118iのエンジンは3気筒1.5Lターボ(136ps/22.4kgm)で、パワー的にも回転フィール的にも正直いって大したことない。
しかし、エンジンはちょっと非力でも縦置きFR独特のドライブフィールは、これはやっぱりBMWならではの世界。室内が狭いとか、内装が貧弱とか、ほかにもいろいろ文句をつけたいところはあるのだけれど、好きな人にはたまらない魅力があるタイプのクルマといえる。
■トヨタカローラスポーツ
国産ではポロより上のCセグになるが、カローラスポーツの1.2Lターボ(116ps/18.9kgm)が格好のライバルだ。
CVT仕様を走らせると、欧州ダウンサイズターボに比べてややトルク感に欠ける印象があるが、ひさびさに設定された6MT仕様に乗ってみると「そう悪くないじゃん」とイメージが変わる。
シャシーは重厚な乗り心地や高い剛性感など、ポロRラインに匹敵するくらい優秀。210万~240万円という価格や無鉛レギュラー指定を考慮すると、実用性とコスパは抜群だ。
■スズキスイフトスポーツ

●全長3890×全幅1735×全高1500㎜●直4DOHC1371㏄+ターボ●140ps/23.4kgm●車両重量970㎏●価格183万6000円
ポロと同じBセグのなかで、183.6万円で買える圧倒的なコスパのスイフトスポーツ。高級感こそないけれど、200万円以下という価格でこれほどファン・トゥ・ドライブなクルマは、世界的にも珍しいと思います。
さて、最終的な順位は、328万円からという価格にもかかわらず、音声認識インフォティメントシステムと大型ディスプレイで、Cセグ市場を席巻しているベンツAクラスが92点で1位!
ポロRラインとスイフトスポーツが同点の90点で2位! 4位は88点でカローラスポーツ、5位は85点でBMW118iとなりました。