■出力アップは数値以上!
パワートレーンはRSだけでなく全モデルで変更。ガソリン車は1.3L(98ps/12.0kgm)から1.5L(118ps/14.5kgm)に変更。
ハイブリッド(e:HEV)は1.5L+2モーターという基本構造は不変だが、エンジン出力は98→106psに、走行用モーターは109→123ps(トルクは25.8kgm)と、ともに出力アップ。
RSはこれに加えてパワートレーンの特性をECON/ノーマルにプラスして、スポーツを追加した3モードに進化している。
出力アップは数値以上に体感できるレベル。
瞬発力はもちろん実用域の力強さ、さらにはエンジンが始動しても回転をなるべく上げない制御などから、いい意味で「電動車感」が増している。
スポーツモードを選択するとレスポンスのいい加速感、高回転まで回した時のステップシフトの爽快感など、「結構スポーティだよね!」と感じるレベルだ。
ただ、欲を言えばRSはスポーツがデフォルトで、開発テスト車だったJOY耐マシン(筆者は以前試乗済み)に採用されていた。より出力を重視した制御を活かすモード(スポーツ+……など!?)が欲しい。
■4輪を上手に使い、曲がる
ブレーキはアクセルOFF時の回生の強さを4段階にコントロールできるパドルを装着。スポーツモードに連動して回生量を増やしてもいいかな……と、個人的には感じた。
フットワークはRS専用のサスペンションを採用。
スプリングはフロント4%マイナス/リア26%アップ、ダンパーは前後ともに減衰力アップ。さらにフロントスタビライザー径を4%アップしている。
その走りはよくも悪くもモヤっとしていたマイナーチェンジ前に比べてクルマがシャキッとした印象で、ノーズがスッとインを向くクルマ好きにとっての理想だと感じた。
具体的にはステアリングを切った時の応答性のよさに加えて、ノーズが素直にスッとインを向く爽快な感覚とリアのスタビリティの高さによる、安心感のバランスが絶妙だ。
コーナリング時のロール姿勢やバランスも整えられているので、FF特有のフロントタイヤ依存のコーナリングではなく、4輪を上手に使って曲がっている印象が強い。
■「MTの設定がない」と言う意見もあるが
乗り心地はノーマル系よりも引き締められているものの、タイヤとサスのバランスによる初期のアタリのよさはノーマルより優しいうえに、フラットなボディコントロールも相まって、スポーティモデルにしては良好と感じた。
ちなみにRSの意味は「ロード・セーリング」。
タイプRのように目を三角にしてコーナーを攻めるのではなく、「日常+α」の領域で爽快な走りを狙っている。
ネットでは「MTの設定がない」と言う意見もあるが、「電動化+スポーティハッチ」の組み合わせは、それを補うだけの魅力があると思う。
■ホンダ FIT(e:HEV RS)主要諸元
・全長×全幅×全高:4080×1695×1540mm
・ホイールベース:2530mm
・最小回転半径:5.2m
・車両重量:1210kg
・エンジン:直列4気筒DOHC1496cc
・最高出力:106ps/6000〜6400rpm
・最大トルク:13.0kgm/4500〜5000rpm
・モーター出力/トルク:123ps/25.8kgm
・WLTCモード燃費:27.2km/L
・価格:234万6300円
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