■走行中に2つのダイヤルをクルクル回すだけでテンパる
続いてペースカーが「コルサ(レース)」モードへの変更を指示した。こっちもちょっと慣れてきたので、低速コーナー立ち上がりでアクセルをブリッと踏んでみる。ブリッとリヤが滑るが、コンマ1秒後くらいにフロントのモーターが引っ張って姿勢を立て直す。いったんリヤが滑ってからフロントの駆動が入るところが心憎い。ドライバーにスーパーカーらしいスリルを味わってもらうおうという親心だ。
後で聞いたところ、「トラコンを切らない限りドライではひたすら安定」とのことで、テールが流れるのは雨の時だけのようだが、雨の日にレヴエルトのアクセルを乱暴に踏むのはやめときましょうネ!
レヴエルトは、「チッタ(電動)」「ストラーダ(886馬力)」「スポーツ(907馬力)」「コルサ」の4モードに、ステアリング右のダイヤルを回すと「リチャージ(充電)」「ハイブリッド」「パフォーマンス」の3モードが組み合わされる。最強の「コルサ」×「パフォーマンス」の状態で、初めて1015馬力が解放されるのである!
と言っても、私には886馬力も1015馬力もぜんぜん区別がつかなかった。どっちもウルトラ速いとしか言いようがない。そもそも、走行中に2つのダイヤルをクルクル回すだけでテンパって、違うダイヤル(車高調整用とか)を必死に回したり、スマホが扱えない高齢者状態だった。
■ランボは「ドアを開けて止まってるのが華」じゃない!
しかしそれでも、レヴエルトのすばらしさは十二分に理解できた。
私は自分のカウンタックで富士を走ったこともあるが、あれは「ブレーキは効かないもの」くらいの心構えが必要な、片道切符なクルマだった。7年前に乗ったアヴェンタドールSも、開発されたばかりの4WSがイマイチ熟成されておらず、300km/hレベルでは不安があった。
そもそもランボルギーニV12は、回して楽しいタイプじゃなかった。カウンタックとその後継車たちは、シザーズドアを開けた状態で止まっていれば観客も一番喜ぶし、いろんな意味でベストだったのである。
しかしレヴエルトは違う。なによりも新開発のV12エンジンがすさまじくイイ。中回転から上ならどの領域でも猛烈に甘美に回りつつ、なんと9250rpmまで突き抜ける! それでいてランボらしい荒々しさも微妙に残されているのだから言うことナス!
ランボファンは、レヴエルトがPHEVになったことを嘆く必要はない。コイツはサーキットでも本気で走らせられるウルトラスーパースポーツだ。それでいて、深夜の住宅街から一般道まで、あらゆる状況で走りを楽しめる。もう「ドアを開けて止まってるのが華」じゃないヨ!
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