SUV大人気でも「箱型」ミニバンがウケる意外な理由

箱型ミニバンは 「国内向けの5ナンバー車」としても貴重な存在に

写真はヴォクシーのシートアレンジ。3列目を跳ね上げれば自転車を2台立てて積める積載性を誇るほか、2列目を後端まで下げてくつろぐことも可能。優れたスペースユーティリティが人気の秘密だ

 そして、ミニバンの大半は、国内市場を対象に開発される。セダンのように海外で売るための車種とは異なり、日本のユーザーの生活を見据えて作られている。そこには我々に向けた一種のオーラというか、強い心意気が漂う。

 もちろん、日本向けの機能や工夫も多彩で、セレナやヴォクシー/ノア/エスクァイアなどは、2Lエンジンを搭載しながら標準ボディを5ナンバーサイズに収める。

 今では1.6L以上のエンジンを搭載しながら、5ナンバーサイズに入る日本車は、ミニバン以外にほとんど存在しない。トヨタのプレミオ&アリオン程度だ。

 これらのミニバンは広い室内を備えながら、狭い裏道や駐車場でも運転しやすいように配慮されている。ヴォクシーやステップワゴンは、床面をフラットに仕上げながら、低床設計を採用して乗降性も良好だ。

 シートアレンジも多彩で、セレナは2列目の中央部分を1列目の間までスライドさせると、収納設備として使える。この時には2列目の間に空間ができるから、車内の移動もしやすい。リヤゲートは上側だけを開閉できるため、縦列駐車をしている時でも、荷物を出し入れしやすい。

 ヴォクシー/ノア/エスクァイアは、3列目シートがレバー操作のみで跳ね上がるようにした。簡単に畳めて荷室を拡大しやすい。

 ステップワゴンは3列目を荷室の床下に格納にするから、2列シートの時はスッキリした広い空間に変更できる。畳んだ3列目が荷室に張り出さず、自転車を積む時もハンドルがシートに干渉しない。

 このようにミニバンは、背の高い車種を中心に、運転のしやすいサイズで広い室内を備えるから高効率で日本の使用環境に適している。

 なおかつ日本のユーザーが、日常生活の中で便利に使える機能を数多く盛り込んだから、好調に売れて当然だ。

軽やコンパクトでも「箱型」は現代大ヒット車の方程式に

日本一売れているN-BOXを筆頭とした軽スーパーハイトワゴンも、箱型のフォルムを持つ。3列ミニバンに限らず、ボクシーなフォルムは人気車種の方程式のひとつ

 そして、今の人気車種を見ると、軽自動車やコンパクトカーも、背の高いミニバンと同様の手法で開発されている。販売ランキングの上位には、N-BOX、タント、スペーシアが入り、これらの軽自動車は全高が1700mmを超えて車内も広い。後席側のドアはスライド式だ。

 軽自動車だから乗車定員は4名だが、後席を畳むと自転車も積める。外観のデザインから機能まで、ステップワゴンやセレナを小さくしたような軽自動車だ。

 今ではN-BOXやタントなどのハイトワゴンが、販売面では軽乗用車全体の50%近くを占める。

 2列シートのコンパクトカーでも、ルーミー&タンクの人気が高い。N-BOXやタントと同様、全高が1700mmを上まわってスライドドアも備わり、機能は背の高いミニバンに似ている。

 従ってミニバンの範囲を2列シート車まで拡大して「全高が1700mmを超えるスライドドア装着車」という見方をすれば、国内販売の主力になる。先に述べた通り日本のユーザーのために開発されているから、ミニバンは今後も日本車の主力であり続けるだろう。

 おそらく遠い将来、完全な自動運転が実現した時も、クルマはミニバン形状であるはずだ。

 自動運転は交通事故ゼロの達成が前提だから、衝突安全ボディやエアバッグは不要だ。空気抵抗を抑えた卵型の空間効率が優れたボディを備え、目の不自由な人や高齢者を含めて、誰でも公平な移動を楽しめる。

 つまりミニバンは、未来の輝けるカーライフに繋がるカテゴリーなのだ。

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