新たな業務資本提携で何が起こるのか!?
これを踏まえて2019年9月27日に発表された『新たな業務資本提携』の内容だ。
資本提携面では、トヨタがスバルの株式を買い増して、現状の16.83%から20%を超える株式を取得する。これによりスバルはトヨタの関連会社となる。
一方、スバル側ではトヨタ側によるスバル株式取得に要した金額と同額に相当する株式数を取得する予定。これにより、トヨタとスバルの企業としての結びつきはより強いものとなる。
そしてここが重要なのだが、この資本提携の強化を背景に、両社の業務提携はさらに踏み込んだものとなる。
業務資本提携を伝えるプレスリリースは、得てして堅い文言が並ぶものだが、そのなかでひときわ目をひく文がある。
「両社の強みを持ち寄り、最高に気持ちの良いAWDモデルを共同で開発」
「86/BRZ次期モデル共同開発」
86/BRZの次期モデル共同開発については、すでに本誌スクープ班が掴んでいた情報が正しかったことが証明された。
両モデルについては、当初は共同開発は1代かぎりで、次期型以降は両社独自のモデルとして成長していくという情報があったものの、これは次々期モデルの話で、次期型は共同開発ですでに進行中という情報をベストカー2019年3月26日号でお伝えしていたとおりである。
それよりも驚きなのが、「最高に気持ちの良いAWDモデル」という表現だ。この言葉から、実用的4WDではなく、スポーツ性能を高めた4WD車であることが感じられる。
スバルには伝統的な縦置き水平対向エンジンを軸としたシンメトリカルAWDがある。
トヨタとしては、このパワートレーンに大きな魅力を感じていることは間違いない。スポーティな4WDといって真っ先にイメージされるのがWRCに代表されるラリー用ベースマシンだ。
現在トヨタはFFプラットフォームのヤリス(日本名ヴィッツ)でWRCに参戦し、高い実力を見せつけている。
2019年10月の東京モーターショーで、新型ヤリスが公開され、2020年2月にも市販されるが、次期WRCマシンもFFプラットフォームのヤリスをベースに開発されることは間違いない。
スバルのAWDは縦置きエンジン、トランスミッションを軸にしたプラットフォームが基本なので、ヤリス用4WDは別ものと考えるのが順当だ。
WRCといえばスバルだ。2008年を最後にワークス活動から撤退してしまったが、1990年代から2000年代初頭の活躍は記憶に鮮明だ。
当時はインプレッサをベースにWRCを闘っていたが、ここで鍛えられた技術、知見が現在のスバルAWDにつながっていることは間違いない。
■スバルのAWD開発能力はトヨタにとって大きな魅力
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