消滅か、存続か。日産を代表する名門コンパクトカーの去就に注目が集まっている。
日産の名門コンパクトカー、「マーチ」の現行モデルは2010年に発売。すでに9年目に突入しているが、依然として新型登場の話は全く聞こえてこない。
さらに、欧州では新型マイクラ(マーチの海外名)がすでに発売され、同じ日産の「キューブ」が2019年内で生産終了することもあり、「日本ではマーチが消滅するのではないか?」という話が、より説得力をもってささやかれている。
1997年には年間14万台超を売り上げ、販売ランキング2位。2003年にも同3位に輝いた人気車は本当に消滅するのか? 現時点で有力な情報は2つある。
文:遠藤徹
写真:NISSAN、編集部
【画像ギャラリー】欧州ではすでに新型! 日産 マーチ歴代モデル&新型マイクラとは?
マーチは消滅? 販売店筋に流れる「2つの有力情報」
日産のベーシックコンパクトカー「マーチ」は、モデルが古いことと販売不振で生産中止するのではないかと噂されている。
最近の売れ行きは月販800台前後で生産維持が難しくなっている。いったいこの先どうなるのか。完全に正確な情報はまだない。
最近、販売店筋に流れている比較的有力な情報は大きく分けて2つある。
ひとつは生産中止し、モデルを廃止することであり、もうひとつは提携先の三菱自動車との共同開発によって後継モデルを投入することである。
三菱自動車にはコンパクトハッチバック車の「ミラージュ」が存在する。同じ1.2L・3気筒エンジンを搭載し、ボディサイズ、価格帯も同じ。両ブランドともタイから輸入しているモデルであるから、統合し次期型を開発する方が継続するにはベストといえる。
プラットフォーム、エンジン、駆動系、足回りなど基本コンポーネントを共用すれば大幅なコストダウンになる。
さらに、ボディパネルも共用し、それぞれ日産 マーチ、三菱 ミラージュの別ブランドで発売する。
開発の主体を日産サイドが主導するのか、あるいは三菱自動車になるかはまだ分からないが、両社の今後の商品戦略の方向性を考えれば、おのずと予想できることである。
三菱主導で「ミラージュと統合」なら発売はいつ?
今のところ三菱自動車主導の開発が有力となっている。ミラージュにとってもメリットは大きい。
ミラージュの現行モデルはFF(前輪駆動車)の2タイプしかない。マーチと統合すれば4WDも設定できるし、スポーツモデルも含め、10タイプ以上に拡大できるので、販売台数の上乗せがし易くなる。
両社は次世代モデルの開発に際して両ブランドのプラットフォーム&基本コンポーネント、関連部品、用品の共用化を進めることを既に明らかにしているので、この一環として位置づけられるともいえそうだ。
マーチのモデル廃止説が流れているのは、もしかしたら三菱自動車が開発し、日産にOEM供給する方式に切り替えられるためかも知れない。
これが実現するとしたらいつになるか。おそらく2022年あたりになると思われる。
2022年は、日産の中期経営計画が終了するので、これにタイミングを合わせることになりそうだ。引き続きタイで生産し、輸入する体制とするのか、日本産に戻すのかは明らかになっていない。
販売を伸ばしたいのであれば国内産とすべきであろう。タイ産にしたのは元トップのカルロス・ゴーン氏だった。彼が去り新体制になったのであるから、成功率の高い国内産に切り替えるに違いない。
日産販売店各社はどう見ているのか。
多くは、「現行マーチが売れ行き不振になっている主な要因は、タイで生産し輸入する体制に切り替えたことだ。
品質的には問題がなくてもイメージが良くない。ホンダがシビックセダンで失敗し、国内産に戻したのもそのせいといえる。ミラージュの販売不振もしかりである」(首都圏日産営業担当者)
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