新型マツダ3 デビュー半年は成功か? それとも失敗か?  

マツダ3の課題は「乗り心地」

マツダ3 セダンの走り。全長4660×全幅1795×全高1445mmと、あくまでサイズだけで比べればベンツCクラス等より若干小さい車格となる

 では、両手を上げて褒めあげられるのかと言うとそうでもない。もちろん、この価格帯(222万~368万円)でここまで作り上げたことは素晴らしいというほかない。

 例えば、メルセデスやBMWなどライバルとして考えるならば、マツダ3よりもはるかに高い対価を払わなければ同じようなレベルは手に入れられない。

 そのようなことを考えるとよく作ったものだと言えるのだが、ひとつだけ乗り心地に関しては素晴らしいとは言い切れない。

 海外で乗った時にはそれほど乗り心地が悪いとは感じていなかったのだが、日本国内で数日乗って感じたのは低速域における突き上げ感。

 米国や欧州では比較的速度域が高い状況で試乗したので強くは感じなかったけれど、日本は常用域の速度が低いので、どうしても路面のアンギュレーションに対する初期の処理が気になる。

 いわゆる専門用語での“ハーシュネス”だ。路面の継ぎ目や補修路面などを低速域で通過した時にタイヤを叩くように突き上げが発生する。シートが非常によくできているので大きく気になるわけではないけれど、助手席に乗っていた家族がスマホを見られないと嘆いていた。

 ただし、そのハーシュネスは瞬間的なもので、その衝撃が尾を引いて長くバウンシング(共振)することはない。共振は少ないから、人間の目に備わっている手ぶれ補正モードがフル稼働しないから疲れはしないが。

アクセラから変更! “安物”にみえる足回りはハンドリングのため?

一見すると“安物の”足回りを敢えて採用した新型マツダ3。そこに乗り心地とハンドリング特性の狙いが隠されている

 マツダ3は、アクセラで採用していたリアサスペンションをマルチリンク式からトーションビーム式に変更してきた。これはサスペンション形式からいえば安物に変更しているわけだ。

 しかし、マルチリンクと比較してトーションビームにも長所があり、その長所を上手に利用して素晴らしいハンドリングを実現している。

 トーションビームにしたことで乗り心地が悪くなったのか? と言うと、それとこれとは違うと思う。この乗り心地の一因はフロントのロアアームの角度ではないかと考える。

 フロントのサスペンション形式はアクセラと同じストラット式。アクセラの時からフロントのロアアームは若干下がり気味にセットされていたのだが、マツダ3ではさらにその角度を下げている。

 こうすることによってタイヤを先に潰して、その後サスペンションがスムーズに動くことを目論んだ設計になっている。

 一般的にサスペンションとタイヤの縦方向の動きがマッチせず、それによってハンドリングに悪影響が出ることがある。

 これは人によっては全く気にならないレベルのものだが、マツダの開発陣は完璧を目指す人たちだからハンドリングをチョイスした。なんとなくスバリストのようだ。

 言い換えればミリ単位の誤差も見逃したくないという完璧主義で、このようなセットアップを施している。

 ハンドリング主義の私としては歓迎するセットアップなのだが、実際タイヤが吸収しきれないレベルの凸凹であった場合には、ロアアームが下がっているぶん、支点となる接続部を押し上げる力が強いので、このような突き上げ感となって現われてくることが考えられる。

 ただし、その代償として実に気持ちよいハンドリングを実現しているのだ。 要するにトレードオフの関係にあるといえる。

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