トヨタと異なるホンダの価値 「ファンの支持」が浮沈握る鍵?
そうしたトヨタは、米国でのモータースポーツ活動もストックカーレースに重点を置く。
もちろん、トヨタもかつては米国のインディカーシリーズや、欧州を中心としたF1へ参戦したこともあるが、今日では、世界選手権への取り組みもラリーが中心だ。どのクルマ(車種)が速いか、一目瞭然の競技だ。
トヨタが取り組むモータースポーツは、いずれも大衆が好む競技である。
それに対し、ホンダが取り組む米国のインディカーや世界を転戦するF1は、フォーミュラレースであり、もとをただせばレーサーが腕を競うための競技だ。
そこへホンダは優秀なエンジンを供給し続け、レーサーの活躍を支えた。芸能でいえばミュージカルとか宝塚といったような、熱烈なファンに支えられる芸である。
モータースポーツや芸能の上下をいうつもりはない。だが、“広く一般に支持されるもの”と、“特定のファンに支えられるもの”との違いをいっているのである。
それにもかかわらず、これまでのファンがチケットを購入しにくくなるような方針転換をミュージカルや宝塚が採ったら、ファンの一部は離れていくのではないか。
フォーミュラレースは、ある意味で通好みのモータースポーツだ。たぶん、米国でストックカーレースにホンダが参戦しても、あまり人気が出ないのではないだろうか。
そのように、ホンダは広く大衆に頼るのではなく、優良顧客の支持を得ながら、そのファンクラブの会員をじわじわ増やすような拡大路線を歩まなければ、根柢のファンが離れていくような自動車メーカーといえるだろう。
その意味で、現在すでに500万台規模の大メーカーにはなったが、ブランドとしては200万台規模のドイツ御三家(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)に似たブランド力をこれまで米国で得てきたはずだ。それが崩れはじめたというのが、現状ではないか。
トヨタやフォルクスワーゲンを追うのではなく、いかにファンに支持されるブランドを磨くか。そうした新車開発や販売の仕方を改めて振り返ることで、ホンダの底力は発揮されるのだと思う。
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