ちょうど1年前に日本にも上陸を果たしたメルセデス ベンツのAクラス。「A35 4MATIC」は、そのAクラスに追加されたホットハッチモデル、そして今回試乗した「Edition 1」は600台限定で発売された特別仕様ということになる。
メルセデスAMGはスポーツ・レース系のブランド。既存の「45」シリーズよりも安価に抑えられているとはいえ、この「AMG A35 4MATIC」もバッキバキのスポーツ仕様。数々の専用装備がおごられた今回の「Edition 1」であればなおさら…なわけだが、この場合評価で難しいのは、スポーツモデルとはいえ、「扱いやすさ」はどんなものか? という点。
試乗してもらったのはレーシングドライバー、自動車評論家のプリウス武井氏。なお価格は743万円となっている。
■「A35 4MATIC Edition 1」の主なPOINT
・300ps超の2L直4ターボエンジン搭載
・エンジン下部にアルミニウムプレート、アンダーボディ前部にブレースを2本追加しねじり剛性強化
・「Edition 1」専用フロントバンパーデザイン
・ボディカラーにデニムブルー採用
・マットゴールドの専用デカールを装備
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※本稿は2019年10月のものです。10月8日試乗
文:プリウス武井/写真:ベストカー編集部/撮影:森山良雄
初出:『ベストカー』 2019年11月26日号
■尖ったセッティング! サーキット向きか?
ガーヌR.S.とシビックTypeRがニュルで最速競争を繰り広げているホットハッチバトル。そこにメルセデスも参戦!? と思うようなモデル A35が登場。
AMGのチューニングを施した600台限定の「エディション1」を群馬サイクルスポーツセンターで試乗できるというので、オレに声がかかった。
実に数年ぶりに行く試乗会。試乗会といえば多くの媒体が参加して、華やかなイメージ。ところが期待とは裏腹にこぢんまりとした雰囲気。なんと午前中の枠はオレたちだけ。
綺麗な受付の女性と豪華なランチはなかったけど、フルコースを使って走れるというのはある意味、豪勢な試乗会! さっそく、インプレッションさせてもらった。
限定車らしく、標準でAMGパフォーマンスシートを装備。座面は、乗り心地を確保しながら、ハリのある高級ソファーのような感覚でクルマの挙動も掴みやすい。
エンジンを始動し、ステアリングに備わるダイヤルで5つある走行モードを基本のコンフォートに設定。とりえずATモードで走り出した。
タイヤが動き出した瞬間から口から出たのは“硬い”という言葉。走りにこだわったクルマといえど、その多くは万人が乗れる味つけなのだが、コイツはとんでもなく尖ったセッティング。
群サイは路面が荒れていて、足が硬いと評価は低くなるのだが、今回の試乗会の狙いはどこにあるの? と思いながらアクセルを踏み込んだ。
エンジンレスポンスはよくターボラグとは無縁で、停止状態からフラットな加速。四駆の効果か300psを超えるパワーでも路面を捉え、安定した加速感だ。
前夜の雨で路面がところどころ濡れた条件下でも、タイヤが温まるといいペースで走れた。路面との接地感もわかりやすく、アンダーステアもなくよく曲がる。
限界域を探るため走行モードを「スポーツ+」に変更。シフトもマニュアルモードにして、ふたたび緑が広がるワインディングへ飛び込んだ。
アクセルレスポンスやステアリング応答性、サスペンションがわかりやすく変化。さらに動きがクイックになった。
旋回中にアンジュレーションがあると、クルマの姿勢が変わりそうでぶっちゃけ怖い。ギャップを飛び越え跳ねて着地する際、振動がダイレクトに体に伝わるから自然と体に力が入ってしまうほど。
サーキットのようなフラットな路面なら抜群の旋回性なんだろうなぁと思いつつ、アクセルを踏み込んでさらに攻めた。
結論として群サイでは、ドライバーに与える印象は、全体的にフワッとした乗り味でスタビリティが低いように感じたけど意外と限界域は高い。
フラットな路面であれば、スポーツカーとしての仕上がりに疑問はない。
基本装備や限定台数の希少性を考えると、700万円台でAMGが買えるというのは、お買い得といえる。
■A35 4MATIC Edition 1 主要諸元
・全長×全幅×全高:4436×1797×1405mm
・ホイールベース:2729mm
・エンジン:直4DOHC+ターボ
・総排気量:1991cc
・最高出力:306ps/5800rpm
・最大トルク:40.8kgm/3000~4000rpm
・トランスミッション:7DCT
・価格:743万円
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