日産の国内販売は現在、ノート、セレナ、エクストレイルの3車種が支えている状況だ。
なかでもノートは、2018年の国産登録車販売台数NO.1に続き、2019年の4月~9月期でも、プリウス(66,628台)に続いて第2位(59,474台)にランクインしており、日産の国内販売台数を支えている。
しかしながら、その他のラインナップは、残念ながら殆ど車名を聞くことがなく、それどころか、Z12キューブは国内販売終了がアナウンスされ、また、 K13マーチも消滅のウワサが聞こえてきている。
ターゲットが似ているノート・マーチ・キューブの3台であるが、なぜこれほどまでに、差がでてしまったのだろうか。
ひょっとして、ノートの成功がマーチとキューブを追い詰めてしまったのだろうか。
文:吉川賢一、写真:日産
【画像ギャラリー】2018年国産登録車販売台数NO.1獲得したノートの魅力
ノートとマーチ、キューブはどういった素性で生まれたのか?
自動車メーカーは、売れた台数をもとに、ラインナップの車種構成を見直す。売れるクルマへ投資を集中し、広告費をかけたり、マイナーチェンジを行ったりと、売れ筋を伸ばすことが目的だ。
キューブもマーチも、2000年代に記録的な国内販売台数を誇った名車であるのに、どうしてノートだけに、e-POWERのような大型投資がなされたのだろうか。その答えは3台の「素性の違い」にある。
3代目Z12キューブは、2000年代に爆発的な人気を博した2代目の後継として、2008年11月に登場したクルマだ。
ティーダと共通のBプラットフォームで作られている。キューブは、このZ12型から左ハンドル仕様が追加され、北米、欧州、韓国といった海外で販売された。
ファニーでレトロなエクステリアデザイン、日本流のインテリアセンス、しっかりとした足回り、低燃費など、日産は「いける」と思ったはずだ。
しかし海外では、発売当初こそ話題となったものの、その後は不振となり、今ではどの地域でも販売終了となっている。
デザインのコンセプトや使い勝手は通用していたが、他のコンパクトカーと比べると価格が高かったことが原因だといわれている。
2010年7月に登場したK13型マーチは、K12型マーチの成功を元に、エントリーコンパクトカーとしての地位を盤石なものにする目的で開発されたクルマだ。
日産がVプラットフォームと呼ぶシャーシを使っており、価格を限界まで安くして、アジア圏を中心により多くのお客様の手に届くようにと開発された。
コスト削減のために、一説には、スタビライザーを外す、前々型マーチのパーツを使うということまで検討されたほど、極限まで削り落とされたクルマだった。
ちなみに、マーチの海外版であるマイクラは、全幅を1743mmまで拡大し3ナンバーサイズとなったK14型が発売されているものの、日本国内のマーチはK13で止まったまま。
もしもK13が日本国内で売れていたら、K14は日本市場も考慮し、全幅1700mm以下の5ナンバーサイズで登場していたかもしれない。
2012年8月に登場した2代目のE12型ノートは、日産がBプラットフォームと呼ぶシャーシを使ったコンパクトカーであり、欧州でいうBセグメントに該当する。
国内生産はもとより、英国のサンダーランド工場や、北米でも生産されている。
ノートは、世界を見据えたグローバルカーとして作られたクルマであり、それだけに、日産としては威信をかけた一台だった。
コメント
コメントの使い方