トヨタとの違いは? アウトランダーPHEV独自の魅力
2015年には、「ダイナミックシールド」と呼ぶ新たな三菱の顔をグリルに施し、存在感を高めて同年には自販連の順位でアウトランダー全体として30位台の販売実績を残した。2019年9月には、オーディオの充実や、スマートフォン連携ナビゲーションの設定が行われた。
災害対応では、2011年の東日本大震災を受けて開発された、軽EVのi-MiEVで使えるようにした「MiEVパワーボックス」を、アウトランダーPHEVでも利用できるようにしたほか、直近では、第64回東京モーターショーで紹介された、『電動ドライブハウス』の取り組みが開始されている。
これは、太陽光発電や、VtoH=電動車両から家庭への給電、専用電気料金プランなどで構成する仕組みを一体化し、電動車両を購入した消費者が、ディーラーで機器の設置から運用管理に至る契約をワンストップで済ませられるサービスだ。
三菱と、福岡県のサニックス社の提携により実施している。VtoHシステムはリース契約とし、太陽光パネルなどを含む装置一式は設置費をゼロ円とする電気料金システムを適用することで、経済的に容易にはじめることができるようにした。
これを利用すれば、太陽光パネルによる排ガスゼロの電気を電動車両や家庭で使え、万一の停電の際には、電動車両に充電された電気と、太陽光パネルによる電力とを家庭で使うことができる。
こうした家庭への給電の考えは、日産がリーフ・トゥ・ホームで実施しているが、三菱の場合は、それをワンストップで行える点で消費者により親近感を覚えさせるだろう。
国では、2012年に低炭素社会へ向けた道筋が策定され、これに対応した家屋をゼロ・エミッション・ハウス(ZEH)、あるいはゼロ・エミッション・ビルディング(ZEB)と呼び、2020年までに標準的な新築住宅でZEHを達成し、2030年には平均的な新築住宅でZEH化を進めるとしている。
つまり、電動車両が社会基盤の一つに位置づけられる考え方が、住宅などを含めながらすでにはじめられており、EVやPHEVの販売と普及は、もはや交通社会の課題だけではなくなっている現状がある。
その状況はトヨタも認識はしはじめているが、RAV4 Primeにおける電力供給は1500Wを最大とする家庭電化製品水準にとどまっている。
家庭電化製品を使えるようにするだけの給電のトヨタと、家庭や商業ビルなど施設への給電を視野に電動車両の位置づけを考える日産や三菱の取り組みの差は、どこから生まれてくるのか。
それは、日産や三菱が大量のリチウムイオンバッテリーを使うEVの開発をしたのに対し、トヨタは、電動車両はハイブリッド車の技術をもってすれば作れるとした、車両性能のみを見ているからだろう。
つまり、電動車両の価値に対する視野がトヨタはまだ狭い。EVの開発においても、まず中国で現地のEVメーカーと提携する手法を取り、米国で発表したRAV4 Primeも、ハイブリッド車をもとにしたプラグインハイブリッド車だ。
一方のアウトランダーPHEVは、i-MiEVというEVの技術を基にしているため、走行はモーターのみにより、また多くのリチウムイオンバッテリーを使うことによる施設への給電を考えることができた。
それは日産が考えるEVを含めたスマートグリッドへ発展し、また今後大量に出てくる中古バッテリーの再利用という事業へも目を向けることを可能とする。
トヨタの電動車戦略は、いまだ自動車メーカーとして旧来(エンジン車)の発想から抜け出せていないといえる。
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