首位陥落から王座奪回! プリウスがノートを逆転した理由とは?
ところが、2019年は、前述のとおりプリウスが挽回してノートとアクアを抜き返した。トップ3車の顔ぶれは、2017年と同じプリウス/ノート/アクアに戻った。
戻った経緯は、2018年と「逆のパターン」だ。2018年のプリウスは28%減ったが、2019年のプリウスは9%増加した。ノートは13%、アクアは18%減ったから、プリウスが繰り上がった。
そこで注目されるのは、プリウスが対前年比を9%増やした理由だ。
2019年におけるプリウスの対前年比を振り返ると、1~3月は横這いで、登録台数もノートを下まわっていた。
しかし、2019年4月になると、プリウスの対前年比が32%増えてノートを上まわり、登録車の1位になっている。5月も対前年比はプラス19%、6月は10%、7月は34%、8月は9%、9月は17%という具合に、対前年比のプラスを保った。
2019年4月から対前年比が上向いた背景には、複数の理由がある。
まず、2018年12月に実施されたマイナーチェンジの効果だ。先に述べたデザイン面の不満がある程度は解消され、安全装備も充実させた。プリウスは法人需要も多いから、新年度を迎えて(つまり2019年4月に入って)乗り替えが進んだことも考えられる。
C-HRやアクアの売れ行きが下がり、販売力がプリウスに戻った事情もあるだろう。プリウスの対前年比が目立って増えた2019年4月には、アクアは18%減っている。7月にはプリウスが34%増えて、C-HRは37%減った。
このほか2019年5月には、登録台数は少ないものの、プラグインハイブリッド車のプリウスPHVが一部改良を行って充電機能などを充実させている。
2018年登録車No.1のノートが後退した理由は?
一方、ノートが下がった理由は、2016年11月に発売されたe-POWERが行き渡ったことだ。
2019年3月にはデイズがフルモデルチェンジを行い、ノートの需要が奪われたこともあるだろう。
前述のとおり、ノートのノーマルエンジン搭載車の発売は2012年と古いから、e-POWERの追加で1位になったことがむしろ異例であった。
日産の場合、2010年以降は新型車の発売が激減しており、設計の古い車種が目立つ。この影響で、デイズ+デイズルークス+ノート+セレナの販売台数を合計すると、国内で売られる日産車全体の70%近くに達する。
このような状態だから、ノートが登録車の販売1位を争いながら、メーカー別の国内販売ランキングは、トヨタ、ホンダ、スズキ、ダイハツに次ぐ5位になってしまう。
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以上のように販売ランキングの首位争いには、いろいろな事情が絡む。
好調に売れるクルマは、多くの人達が使っている以上は優れた商品だが、販売ランキングのトップグループに入るには商品力以外の要素も必要だ。それを探ると、国内販売の実態が見えてくる。
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