日産の「キューブ」と「ジューク」は、この原稿を書いている2020年1月13日(月)現在、ホームページには記載されているものの生産は終了しており、新車を買えるのは在庫のみとなっている。
2003年から2004年にかけて年間で約14万台も売れていたキューブ、そして個性的で尖ったデザインを採用し発売当初は好調な販売を記録したジュークだが、日産の新車戦略から外され、その歴史に幕を下ろすことになる(ジュークは海外では継続)。
当記事では、この生産終了した2台が「いつごろまでなら買えるのか」という調査に加え、2台が生産終了に追い込まれた敗因について考えてみた。
文/永田恵一
写真/NISSAN、編集部
【画像ギャラリー】もうすぐ手に入らなくなる2台の内外装をもう一度振り返ろう!
■最後は見殺しにされた感が強い「キューブ」
●いつまで買える?
首都圏の日産ディーラー何軒かに問い合わせたところ、キューブはまだ販社単位の在庫があるところが多かった。しかし、当然ながら在庫は少なくなっており、好みのグレードやボディカラーを選べる可能性は低い(生産が終了しているのでメーカーオプションも選べない)。
といったことを総合した結論は、2020年1月26日(日)までが新車のキューブを買えるラストチャンスとなりそうだ。
●敗因
3代目モデルとなる現行キューブは、2008年11月に登場した。現行キューブは2代目モデルからスタイルを含めた完全なキープコンセプトながら、2代目キューブの魅力だった居心地のいいインテリアや、心が和む雰囲気は一層の磨きがかけられた。
また、走りは全体的に普通ながら、特に初期モデルの乗り心地は柔らかな快適なもので、クルマに強いこだわりなく、見た目重視で選びたいユーザーに向いたクルマだと感じた。
キューブが生産終了に追い込まれた敗因は古さに尽きる。というよりも、現行ノートも登場から8年目に入りながら一時期の勢いこそないものの堅調に売れているのを見ると、キューブが生産終了に追い込まれた最大の理由は「ある時期からほとんど手を加えなかったから」と書くほうが正確だろう。
現行キューブが受けた改良を振り返ると、大きなものは2012年10月にエンジンがアイドリングストップも付く、デュアルインジェクターに変更されたのが最後だ。その後はというと、ボディカラーを中心とした内外装の変更だけである(それも想像するよりも大きな開発資源が使われているにせよ)。
その間にコンパクトカーや軽自動車にも自動ブレーキは当たり前となり、キューブが歴代採用するコラムシフトの操作性の悪さをインパネシフトの普及もあり我慢できない人も増えていただろう。それだけにダッシュボードの変更も伴うインパネシフトへの変更は無理だとしても、ライトバンのNV150 ADにさえ自動ブレーキがインストールされたのを見ると、現行キューブに自動ブレーキが付かなかったのはひどすぎる。
現行キューブはこの厳しい状況下でも2018年には6590台売れており、キャラクターやデザインに魅力があっただけに、自動ブレーキが付けば年間1万台程度は売れたように思う。まあ、投資と販売台数の折り合いが付かないと判断したから、自動ブレーキも付かなかったのだろうが…。
また近年は、シエンタやフリードというコンパクトミニバンが大人気となっている。それを考えると、それこそ投資に対する効果を熟考する必要はあるにせよ、2代目キューブにあった非常に狭いながらも3列目シートを持つキュービックを発展させたモデルでもあれば、日産ユーザーのシエンタやフリードへの流失をいくらかでも防ぎながら、キューブの運命も変わったかもしれない。
すでにキューブが生産終了になったことは仕方ないが、日産の経営が再び持ち直した暁には、路上を和やかにしてくれたキューブの復活を心待ちにしたい。
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