新型CX-30の登場もCX-5に影響
2つ目の理由は、マツダの新型SUVとなるCX-30の登場だ。従来から用意されていたCX-3は、後席と荷室がマツダ2(旧デミオ)並みに狭い。
ファミリーカーとしては使いにくいが、CX-30ならば、同じプラットフォームを使うマツダ3(旧アクセラ)と同等の室内空間を確保する。「CX-5に比べれば狭いが、CX-30なら家族で使っても不満はない」と考えるファミリーユーザーもいる。
そしてCX-30は、ボディがCX-5よりもコンパクトだから運転しやすく、プラットフォームと外観デザインは新しい。走行安定性や乗り心地に遜色はなく、価格は24万円ほど安いので、車内の広さに不満がなければCX-5よりCX-30の方が合理的とも受け取られる。
そのために2019年9月20日にCX-30が発表されると、CX-5の顧客が奪われ、さらにマイナーチェンジまで重なったから、登録台数が前年の3分の1以下という大幅な落ち込みに至った。
CX-5の売り上げは「想定の範囲内」
このほかマツダ車全体の伸び悩みもある。
マツダ3を2019年5月、CX-30を2019年9月に投入したことを考えると、伸び率が小さい。
今のマツダ車のラインナップはOEM車を除くと8車種だから、このうち2車種が半年間に続けてフルモデルチェンジしたなら、もっと伸び率が大きくなければならない。マツダ車の需要が一巡して、欲しいユーザーに行き渡り、伸び悩みの傾向が見られる。
ただし、これはマツダにとって、想定の範囲内だろう。CX-5の2019年の月平均登録台数は2628台で、前年に比べると18%減ったが、1か月の販売計画となる2400台よりは多い。
CX-30も発売後の平均が2849台だから、2500台の目標は達成している。CX-30は新型車だから目標を上まわって当然だが、CX-5などは目標台数を意識的に抑えた。つまり、マツダとしては今の売れ行きでも不満はなく、少しずつ定着させる心積りなのだろう。
マツダの国内店舗数は2003年には約1260店舗だったが、今は約780店舗だ。エンジンやプラットフォームの種類、車種数、さらに店舗数まで減らして、手堅く売っていく方針だ。
せっかく優れたクルマを作るようになったのだから、コンセプトの幅をもっと広げて多くのユーザーに運転の楽しさを提供すれば良いと思うが、マツダにそのつもりはないようだ。今後も現状を保つ方針だろう。
■マツダ CX-5 XD プロアクティブ 主要諸元
全長×全幅×全高:4545×1840×1690mm
ホイールベース:2700mm
エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ、2188cc
最高出力:190ps/4500rpm
最大トルク:45.9kgm/2000rpm
WLTCモード燃費:16.6km/L
価格:340万4500円(4WD)
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