【新型ハスラーからも消滅!!】自動ブレーキ義務化でMT車消滅の危機!?

■故障の不安は!? MT車でエンストで止まってもクルマへのダメージは軽微

 ご存じとは思うが、自動ブレーキとは車や人に衝突しそうになった時にドライバーに代わってブレーキをかけ、衝突を回避あるいは衝突を軽減する装置のこと。テレビコマーシャルでも見たことがあると思うけれども、障害物に見立てた風船などに飛び込んで行くクルマのCMを。つまり自動ブレーキは車が停止するまでを自動で行うのだ。

 この場合、MT車だとドライバーがクラッチを切らない限りエンストを起こす。しかしATであれば機械が自動的にクラッチを切るのでエンストはしない。では、MT車で自動ブレーキが作動してエンストすることはいけないこと? 機械的に何かダメージがあるのだろうか?

 もしあなたが高速道路でMT車を運転していたとして、前方の渋滞に気付かず慌てて急ブレーキを踏んだとしよう。ほとんど余裕などない状態。必死でブレーキを踏み込んで幸運にも追突せずに止まったとする。ボクらのようなプロのドライバーであればシフトダウンも試み、止まる直前でクラッチを切ることもできるだろう。しかし普通のドライバーにそんなことができるかな? きっとできないと思います。

現在自動ブレーキを搭載しているMT車はすべて、システム作動時にはエンストする(クラッチ操作なしの場合)

 そして幸運にも停止した時、そのMT車はエンストしているはず。だけど、これは悪いことでも何でもないのだ。とにかく最短距離で止まれたのだから、エンストさせていい。このようにエンストさせたからといって、エンジンやトランスミッションが壊れることは、今のクルマほとんどない。そりゃ、1万回やったらわかりませんが。

 だいたいボクがSUPER GTを走っていた頃、ドライバー交替&給油&タイヤ交換のためにピットインして停止する時はエンストで止めていたのだ。ギアを1速に入れたまま、ブレーキを踏みクラッチを切らずにエンストさせて止めるのですよ。ピットインして止まったらエンジンを停止させないといけないというルールがあるから、エンストは好都合。もしクラッチを切ってニュートラルにしてエンジンを止めていたのではメニューが多く時間がかかります。

 また交代したらドライバーがマシンに乗り込み発進する時も、すでに1速に入っているわけだから、クラッチを踏んでエンジンをスタートさせればすぐに発進できる。つまり第一ドライバーが1速に入れたままエンストさせて止めれば、第2ドライバーはクラッチを踏んでエンジンをかけて、すぐクラッチを繋げばそのままピットアウトすることができるのだ。

 何のことはない、何もエンジンにもトランスミッションにも悪いことは起きません。つまりMT車にエンスト前提の自動ブレーキがあってもまったく問題ない話なのだ。今やMT車の販売比率は全体の1%レベルなので、いちいちMT車のために自動ブレーキを開発する手間や予算を省いているだけなんだね。なんかムカつかない? 我々クルマエンスーとしては。

■メーカー次第でMT車と先進安全装備の共存は可能!! MT車は不滅です

 しかしマツダはやっているのです。マツダはMT車にもAT車同様に自動ブレーキのほか、ADASと呼ばれる運転支援システムのACC (先行車追従型クルーズコントロール 、30km/h以上で作動可)やLKA(車線維持支援システム)を装備しているのだ。

 ま、そんなことはさておいて、マツダのMTの自動ブレーキはATとほとんど変わらないロジックで作動するようだ。つまりエンストさせる(ギクシャクする過渡領域は保証せず)。そう、別にMT車にだって自動ブレーキは付けられるということ。

 また、「MAZDA2 15MB」というモータースポーツベースグレード(スペシャルチューンのハイオク仕様)には自動ブレーキのOFFスイッチが付いている。これは競技中にドライバーの意思に反して自動ブレーキが作動しないようにするため。こう考えると、自動ブレーキの装着義務化はサーキット走行族にとっては嬉しくない法規制だね。

 ほかにマツダは「CX-5」にもMTモデルを設定している。いまやマツダぐらいだろうか? こんなにMTのことを思っているのは。確かに「ロードスター」といえばMT比率が高いからね。輸入車ではポルシェ「ケイマン」にはMTモデルがラインアップされている。

趣味性の低いSUVモデルにMT車を設定しているのはマツダのみ。しかも、自動ブレーキの性能もかなり頑張っており、サポカーSワイドのモデルとして認められている

 ほかに国産では「トヨタ 86/スバル BRZ」といったところで、とりあえずスポーツモデルにはMTが設定されているのだ。と一安心してはいけない。スバル「WRX STI」は受注生産の受付をすでに終了してしまっている。日産「ノート」に至っては、NISMOバージョンにMTが設定されているのみ。

 MTモデルは構造がシンプルなのだから、本来価格も廉価にできるはずなのだが、台数が出ないから安くできないのだ。燃費のデータにしても走り方ひとつで、カタログに記載されている数値よりもいいデータを引き出すこともできる。各自動車メーカーには、MTモデル継続を懇願するのみなのである。

【画像ギャラリー】今や希少種!? 趣味性が低いのにMT車を設定しているモデルをピックアップ!!

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