過去にはMT車の比率が50%くらいあった時代もあったが、現在各メーカーから発売されているモデル(一部旧モデル含む)で見ると、その割合は以下のような数字まで落ち込んでいる。6速iMTを搭載したトヨタ「カローラスポーツ」が健闘はしているが、スポーツモデルを除いて軒並み10%を割っている。
ATのほうが運転が楽なことに加え、省燃費性能の高いハイブリッド車の増加などが要因となり年々その数が減少。そして、減少を続けるMT車にさらに追い打ちをかけるかもしれない、2021年からの新車への衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)装着義務化も決定した。
停止する際に、ドライバーがクラッチを操作する必要があるMT車。自動ブレーキで急停止した場合に、クラッチ操作ができずエンストするという安全面での懸念から、メーカーが先進安全装備を搭載するモデルのMT設定をなくしていると考えられている。
そうなると、先進安全装備の装着率が上がれば、MT車は淘汰されることになってしまうのか!? ファンとしては、そんな寂しいことにはなってほしくないと願うだろう。そこで今回は、先進安全装備の普及でMT車が絶滅する恐れがあるのか!? クルマ好きとしては大いに気になる問題を、松田秀士氏に考察してもらった。
文/松田秀士
写真/編集部
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■先進安全装備の義務化はMT車減少につながるのか?
新型モデルからMT車の設定がどんどん減少している。スズキ「旧型ハスラー」にはMTの設定がありコアなファンのハートを掴んでいたが、新型からはマイルドハイブリッドが標準装備となり全モデル CVTのみの設定となった。またスバルも、「旧型フォレスター」に設定していたMTをアイサイトとの兼ね合いから新型で廃止したのだ。
ただMT車の減少は今に始まったことではない。渋滞の多い日本の交通環境を考えるとMT車が嫌気されるのは理解できるところ。しかし車好きにとってこの問題は大きく、なんとかMTモデルを残してもらえないかとメーカーに懇願したくなるもの。デザインもフットワークもあんなにスポーツに振り、今やどのメーカーもモータースポーツとの関連を前面に押し出してきているのに。
その裏で、こんなふうにMTモデルを消し去っているのはどうにも納得がいかない、というファンも多いのではないだろうか。まあ考えてみればF1も然り、GTも然り、トップカテゴリーの世界でもHパターンのMTモデルなんてほとんど見ないのも現実。この現象は致し方ないのだろうか。
ところで、MTモデルがこのように減少していく裏にはもうひとつ理由がある。いよいよ2021年から、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の装着が義務化されるのだ。確かに高齢ドライバーの事故の問題がクローズアップされているからね。そうなると、ますますMT車の数が減っていくのではないだろうか? と危惧されている。ではなぜ自動ブレーキが義務化されるとMT車の数が減るのかについて説明しよう。
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